無毒蠍 さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
13歳の見習い魔女キキの成長劇。今までの作品に比べると激しさに欠けるかもしれないがその優しいテイストがこの作品の魅力だと思います。
13歳になったら魔女は独り立ちする…その習わしにのっとりキキは今夜にでも旅立ちを決意。
まさに即断即決の精神でまわりもてんやわんやしてましたね(笑)
この豪快な性格が彼女の魅力でもあるのですが
豪快なだけではなく年相応の少女らしい繊細な一面も併せ持ち応援したくなります。
相変わらず音楽が素晴らしくキキが父親から譲り受けたラジオから流れてくる
荒井由実さんの「ルージュの伝言」はとても心地が良く、
そのシーンがオープニングにつながってる演出もオシャレでした。
しかしこの作品で一番心地よかったのは海の見える街を舞台にして構成された世界観です。
日本人には馴染みのない街並みで一種の憧れにも似た感情で見入ってしまいました。
この作品を観て海の見える街に住みたいと思った人も少なくなさそうです。
旅立ったキキは念願の海の見えるとても素敵な街を見つけ、
そこに住まうことを決意しますが都会に出てきた田舎者のような冷めた視線を向けられ、
幸先不安なスタートをきります。
13歳が思い描いてた夢と現実の現実がいきなりやってきたわけです。
そういった中でもキキを気に入ってくれた人と出会い、
住居まで借り魔女の宅急便を開業していくわけです。
お話的には今までの作品のような冒険活劇など微塵もないんですが
キキが初めて行く場所、初めて出会う人たちと一緒に親交を深めていくというだけで
ある意味キキにとっては冒険活劇になってるわけでキキ目線でこの作品を楽しめれば
自分も冒険してる気分になってくるのではないでしょうか?
最初のほうでこの作品はキキの成長劇と書いてますが
その成長は本当に少しの成長なのです。
ほんの少しの成長を100分使って描いたのがこの作品であり
その成長がキキの今後に大きく影響してくるんだと思います。
地味というよりは優しいという印象を抱いた作品でした。
生きていくということは楽しい事ばかりじゃなく様々な困難もある。
そういったことを乗り越えて人は大人になり成長していくんだと思います。
「落ち込むこともあるけれど…私この街が好きです」
このセリフもいいよね。
自分が住んでる街を好きになれるってとても素敵なことだと思うんだ。
自分に子供が出来たら見せてあげたい作品だと思いました、特に女の子にね!
【A80点】