plm さんの感想・評価

3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

いなこん！

優しく見守る神様と、それを慕う女の子。お互いがお互いを想い合っていて優しげな物語。
温かくポジティブな感情が伝わってくる作風と、ちょっと不思議な能力がでてくるわくわく感。
感情の揺れ動きを描く面と、神秘的な能力の面、どちらにも雰囲気があって惹かれる作品だった。
こういうちょっぴり不思議設定（＆それを隠しながら日常生活を送る）みたいなのは好物。

キャラの方言が可愛らしく（本場の京都弁がこうなのかはわからないが）とても自然に聞こえる。
主人公のいなりの性格も相まって、明るく素朴に感じられて親しみがわいた。
新進気鋭の声優さんのようで、この作品で一気に注目してしまった。マルちゃんも良かった。

声優のおかげか、会話のテンポも良く雰囲気も良かったので観やすい作品だった。
けれど、少々残念に思った部分もある。
{netabare}不思議な能力設定である神通力が、完全に邪魔ものとしか扱われなかったことだ。
なんというか、トラブルの原因にしかなっていない。
話を展開するために能力が絡んでくるのは、そりゃそういうコンセプトなんだろうとは思う。
でもせっかく神様にもらった憧れの力だというのに、足をひっぱるだけなのはいたたまれない。
いなりは自然体でいるだけでいい子なのに、余計な場面で能力使うものだからややこしくなる。
特別な能力なのだから、前向きな方向に活かしてほしかったなぁ。
神様の力を人間がいいように扱えるわけがない、という意味ではその通りなのだろうけど。

それから、決別して終わるというのもこの手の話にしては斬新に思えた。
素敵な神さまの力かと思えば、いいことばかりでなく不正に使われてしまったり、
妙なところで筋が通っているというか。いいお話なのだからそこはご都合でもいいのよと思っちゃう。

メインストーリーの流れは納得できるものの、結局のところ「愚かものの二人」というような印象。
お互い空回りしながら苦労したけど、結果は特に変えられたわけではない、ってなんだかなぁ。
それより友達関係や丹波橋君の話の方が報われる部分もあって好きだったかな。
墨染さんは最初こそ、この泥棒猫め！なんて思ってたのが、次第にどんどんいいキャラになっていた。
多分主要キャラの中で一番頼れる子やわぁ。いなりも良いけど墨染さん好き。 {/netabare}

展開はちょっと意に沿わない部分もあったけど、キャラや雰囲気は良い作品でした。