plm さんの感想・評価
3.2
物語 : 2.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
尊い戦死などあるのか?
空飛ぶ島を舞台に「空の果て」を見つけるために飛び立つ飛空士たちの恋あり戦いありの物語。
……飛空士ってつまり、空軍のことだったんですかね?
ばったばったと死んでいく登場人物たち。しかし戦争している理由はよくわからない。
お話の中心となるキャラクターたちはそもそも戦闘兵として志願したというようには見えなかった。
しかもまだ学生であり経験など無いはずなのだが、誰もかれも敵陣特攻して清々しく死んでゆく。
彼らはいつそんな、戦って死ぬ覚悟をしていたのか?
理由っぽいものは「俺たちが今やらなきゃ、みんなが危ないんだ!」これなのだけれど、
未知の敵に対して、大して状況も掴めていない一介の学生が命を掛ける意味がわからない。
この状況で、彼らが出撃するのに足る理由があればまだしも、司令部はとことん無能に描かれ、
結果的にその無能司令官たちは守れたが、果たしてそれは本当に守りたかったものなのか?
「勇敢に散る美学」のようなものが随所に見受けられる。
英雄になって死ぬことが、そんなに尊いことなんだろうか?
死を覚悟した漢気の格好良さを描きたいのか、それとも戦争は悲惨だよということが描きたいのか、
何にしても彼らには信念もなく無策、正面からぶつかっていくだけの死にたがりにしか見えなかった。
それでいて主人公補正で無双されちゃ浮かばれないな、みっちゃん。
主人公の周囲で話が回っていて、大人が役立たずに描かれてるとスケールが小さくなってしまうね。
リアリティをもって描けというのも難しい話なのかもしれないが、空戦自体にまるで臨場感がない。
戦場で銃弾が飛び交っているのにただの的のように空中静止してたり、
乱れ撃ちしてるのにただの点滅ライトかってくらい当たらず悠長に会話してたり。
こういうのは文章で読めばまだいいのかもしれないが、絵になってしまうと頭で補完すらできない。
*
主人公が抱える葛藤として、過去の憎しみを乗り越えるっていう話の軸は良かった。
けど直情系主人公なのはずっと変わらなかったので、成長を感じられたかというとイマイチ。
むしろクレア(悠木碧)の演技が良かったから惹きこまれたのかな、と思う。
総括すると、ラノベにしては文学的な雰囲気があるものの、作り込みは甘いと感じるアニメだった。