こたろう さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
死の現実を考える
東京を襲った直下型の大地震。
思春期の入り口特有のやり場の無いイライラを抱える主人公と、子供らしい素直で元気な弟が、機能マヒを起こした都市で艱難辛苦を超えて自宅を目指すお話です。
現実に起こった震災と関連させて評価したくなかったので視聴を避けてましたが、ここにきてようやく見てみました。
捉え方は人それぞれである、と前置きしたうえで、私なりに本作のテーマというものを考えてみましたが、「死と向き合う」ことを訴えた作品であると感じました。
前半はちょっと醒めた目で視聴。
こういうパニックものでTV局がいつも避けて通る、「圧倒的な死」と「災害の恐怖」に、全然スポットがあたっていませんでしたから。
劇中、主人公の目の前で橋が崩れ、船が沈み、ビルが倒壊し、というシチェーションが何度もあったけど、そこに転がっている筈の死体や目の前にいた人が居なくなる恐怖に触れないようにしています。
フジTV、お前もか。・・と。
姉弟愛の冒険の舞台として、地震というものを利用しただけなんだな、と、勝手に失望してました。(実際、後半でその考えは改められましたが)
ただ、阿鼻叫喚の災害における死の恐怖は、重すぎるのも承知してます。
まともに扱うと、とことん鬱になるしかありませんから。
あえて避けるのも無理はありません。
じゃあ、この作品で災害(震災)という難しいものを使ってまで、訴えたい事とは・・・?
災害の前では、人は皆、等しく死に晒される
戦争でも事件事故でもない、大災害だからこそ起こりうる理不尽で平等なもの。
それを考えさせる作品でした。
感動はしません。
ただ涙が溢れる。
それでも人は受け入れて生きていくんです。