弦之介様 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:----
"画" がとてもきれいな映画!…内容は重い…けど、心に残ります
冲方丁(ウブカタ トウ) 原作のSF小説がアニメーション映画化された作品
「圧縮」「燃焼」「排気」の3部作で完結しています。
すべて観終わっての感想です。
(「変わったタイトルだなぁ~」と思ってレンタル屋さんで手にとって、この作品と出会いました)
■メインキャスト(敬称省略)は、
主役:バロット(cv.林原めぐみ:EVAの綾波レイ役で有名ですね)
ウフコック(cv.八嶋智人:個性派俳優さんですね)
その他、東地宏樹、磯部勉、中井和哉など、しぶーい声優さんが名を連ねています。
■第1部「圧縮」…
主役の少女娼婦バロットが、犯罪に巻き込まれて殺されかけてしまうところから物語が始まります。
燃え盛る車内、遠のく意識の中…バロットは「生きたいのか?死にたいのか?」と問われ、深層心理で「生きたい」と願う。
そして、「マルドゥック・スクラングル-09=保護証人の人命保護のために許可される緊急法令」が発動され、バロットは特殊な能力を身に着けて蘇り、委任事件担当官であり、万能最強兵器である ウフコック(あらゆるものに変身できる金色のネズミ)と共に、自分を犯罪へと巻き込んだ相手(ショー・ギャンブラー:シェル)に挑んでいく物語。
全話を通じて、バロットとウフコックの関係性(信頼感・絶望感・愛情)が、繊細にとてもよく描かれています。
この二人の関係が、この物語中の節々で感動を与えてくれます。
★特筆すべきは、この映画…とにかく"画"がきれい!!
第1部の舞台である「マルドゥック・シティ」
ニューヨークや香港をイメージして作られたそうですが、そのCGの街並み・近未来的な空を突っ切る高速道路などが、夜の闇と光が絶妙なコントラストで描かれています。
とてもインパクトの強い螺旋状の高速道路ですが、「原作に出てくる"天国への階段"を表現した」…と、監督:工藤進氏のインタビューにありました。
緑や黄色で光をつけた夜景がとっ--てもきれいです。
キャラクター(特に、バロット)の表情がとても繊細に描かれていて、たとえ言葉がないシーンでも気持ちがひしひしと伝わってくるし、ウフコックはネズミでありながらとても表情豊かで、しかも、かわゆい。
犯罪者であるシェルは、いけすかないイカれ野郎~という感じの人だけれど、イケメンで…でも、とても繊細で感傷的な印象を受けます(中井和哉さんが演じてらっしゃいます)。
ただ…、 {netabare} 性描写や性的虐待シーンが出てくるし、ガンアクションシーンではここまで描かなくても…というほど体が砕け散る様などが生々しく描写されていて、けっこうグロテスクなシーンもあるので、時に目をそらしたくなるし、なんで?って思う{/netabare}ところもあるけれど、 …「人間が、生きるということ」… という、人にとって普遍的な問題の問いかけが根底にあり、一部の描写を目をつむれば、心に残るよい映画だと思いました。
(独特のSF設定なので、現代社会に通ずる道徳的な概念とは少しずれているかもしれません)
*あと、わたしは購入したBDで完全版を観ての評価ですが、レンタルDVDだと、描写は少しマイルドになっています。
第1部は、{netabare} バロットと瀕死のウフコックが追い込まれてしまい、ピーンチ! {/netabare}…の場面で幕を閉じ、第2部「燃焼」へ。