弦之介様 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
アニメが好きになった、原点となる作品
原作は、山田風太郎の小説「甲賀忍法帖」
わたしは、アニメから入ったので原作は読んでいませんが、すでに小説を完読していた友人2人にすすめたところ、酷評でした…。
GONZOによりアニメ化。
わたしはこの作品との出会いをきっかけに、アニメにどっぷりはまるようになったので、「バジリスク~甲賀忍法帖~」にとても思い入れがあります。
<<大好きな作品ゆえ、長文ですがすみません>>
全24話で完結しており、物語の構成も好きですし、観終わった時に何とも言えない感動と満足感があり、切なさと余韻を残します。
ただ、結構重い内容なので観たいときとあえて観たくないときがあります…。
毎話、冒頭で流れる「~ 愛する者よ、死に候え」
室賀豹馬を演じる、宮林康さんの声がとてもよい感じです。
その後、流れるOP 陰陽座が歌う「甲賀忍法帖」
★個人的には、1話と最終話などに流れたED 水樹奈々が歌う「ヒメムラサキ」がとても好きです。
◆サブタイトルは全24話すべて、漢字4文字。
これがまた美しい。
日本語・漢字のすばらしさ、美しさをあらためて実感。
漢字4文字にその話の内容が集約されています。
特に、好きなのは、
「降涙恋慕」こうるいれんぼ
「追想幻燈」ついそうげんとう
「無明払暁」むみょうふつぎょう
「仁慈流々」じんじりゅうりゅう
「夢幻泡影」むげんほうよう
「来世邂逅」らいせかいこう ←カイコウの漢字変換…苦労した~
最近、知ったのですが、これらのタイトル…OPを歌う陰陽座がリリースした作品から使用されているものもあるのですね。…すごいです…
◆さて…、作品の内容についてです。
内容を一言でいうと、{netabare}「甲賀と伊賀の忍び達(各々10人ずつ)が、最後の一人になるまで忍法争いをし、戦い殺しあうお話。
…どうして戦い合うことになったのかというと、 徳川家の世継ぎを決めるために利用された…という切ない理由。 {/netabare}
むかーし昔から、互いに深く憎みあう敵同士であった「甲賀卍谷」の一族と「伊賀鍔隠れ」の一族。
服部半蔵のもと、甲賀と伊賀に交わされた「不戦の約定」により、両者はかろうじての和平を保っていたけれど、徳川家康の命により、「不戦の約定」が解かれるところから物語が始まります。
◆全話にわたって甲賀と伊賀の忍び達が戦い合い、そして、たいていの話で誰かが傷つき、死んでしまいます。
忍法争いはとても迫力があって…でも、ときに残酷です。
ただ、戦い殺しあうお話の中で、
弦之介と朧とのとても純情な恋物語
甲賀衆、お胡夷と左衛門の兄弟愛の物語
伊賀衆、夜叉丸と蛍火の恋物語
伊賀衆、朱絹の次第に筑摩小四郎を慕う姿や、朧を心から想う姿、(弦之介の横笛を捨てられずにいたエピソードなどから)敵である甲賀弦之介への朧の想いを伊賀衆でただ一人理解していたような姿 に心があたたかくなったり、じーんとすることも多いです。
◆弦之介と朧、戦いのシーン以外で、わたしが特に好きなシーンは、
弦之介の叔父にあたる室賀豹馬と弦之介との物語です。
幼きころの弦之介と豹馬との出会いから、瞳術の師匠として…弦之介に瞳術のみならず忍びとは何たるか、さまざまなことを教える回想シーンや、誰よりも弦之介のことを理解し弦之介の心に秘めた想いや意志を尊重する様はとても感動的でした。
…薬師寺天膳だけは、終始、極悪人といった印象です(笑)
その身に何かを宿していますが、その詳細についはアニメではあまり語られませんし、わかりにくいです。原作と漫画とアニメでその説が異なるようですね。
でも、その立ち振る舞いはかっこよく、演じている速水奨さんがとてもはまり役でよい感じです。
ラストのシーンは何度となく泣けました。
とてもとても哀しいラストですが、とても美しい描写です。
最終話のEDで流れる「ヒメムラサキ」が、このすばらしい作品によい余韻を残します。
とても好きな作品のひとつです。