三崎鳴 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
NHKの生んだ名作
NHKにて放送されたMADHOUSE制作のオリジナルアニメーション作品。2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞、第7回東京アニメアワードTVアニメ部門優秀賞、第39回星雲賞メディア部門、第29回日本SF大賞受賞作品。また同作の原作・脚本・監督により、磯光雄が第13回アニメーション神戸個人賞を受賞した。内容は電脳世界が一般に浸透した近未来を舞台にしたライトSF。“メガネをかえて電脳世界とリンク”というとゲーム『流星のロックマンシリーズ』を彷彿とさせたりもする。本作で特に光っている点は“作画と世界観”である。まず作画について、キャラクターの動きから電脳世界の物質の造形、アクションシーン、全てにおいて繊細でこだわりを感じる。正にアニメーションの作画の教科書のようである(言い過ぎか?)。次に世界観について。それこそ今の時代のスマートフォンの普及のように、電脳世界とリンクできるメガネが子供たちの間に浸透した世界で起こる波乱や騒動を描くのだが、魅力的なキャラといいSF特有の“これから何かが起こりそうなワクワク感”といい、視聴者を惹きつけてやまない。何よりも子供たちの間に広がる世界、かたや空気感の表現は誰しもが通った時代を想起させるため普遍性があり、正に親と子供が共に見るスタイルにも合致する。前半こそコメディ的な話が多く、日常系にも近いのだが後半にさしかかると謎の核心部分に触れていくシリアス展開に入る。しかしながら後半は設定や謎の種明かし/説明に終始しており、これが夕方に放送しているアニメとは思えない難解さである。いや、実際にはSF自体が同じ作風を取っているのだがこれが夕方にTVを見ている子供に理解できるかと言えば甚だ疑問である(子供を侮っているわけではないが)。それでも誰にでも勧められる万人受けするアニメであることは間違いないので未見の者は一見の価値ありといったところか。