ぱるうらら さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
シリアスな後半部は楽しめた
『とある飛空士への恋歌』はラノベ原作、1クール(全13話)のスカイオペラアニメです。
この作品はアニメ化に際して、1クールという比較的短い尺のために原作で細かな情報はカットされていることがwikipediaの解説を読むとよくわかる。故に世界観が分かりにくい。しかし、敵は誰か、物語の最終目的は何かなどが明確であったため、分かりやすいストーリー立ったのではないかと思う。強いて言えば、『とある飛空士の追憶』を未読の方は、突如現れ味方になった“神聖レヴァーム皇国”が一体何なのかは分からなかっただろう。その様な方々はおそらく展開をありのままを受け入れつつ、雰囲気で観ていた事だろう。その国に関して知らずともこのアニメを観るに大きく影響することはないが、『追憶』のアニメ版ではなく【ラノベ版】を観ておく事を勧める。単純に面白いので。
話を戻して、このアニメは前半部の掴みが失敗だった。
テーマは戦争を背景に置いたヒューマンドラマ+恋愛であるが、前半部では主に日常シーン(飛行機訓練を含む)に目が向けられていた。この日常シーンが少々長かったことが視聴者の飽きに繋がったのではないか。とは言うものの、人物紹介や相関関係、後のシリアスシーンにおいて、この日常シーンが重要だったことには違いない。難しい所だ。
そして、面白かったのはやはり中盤から終盤にかけてだろう。
前半にてある程度感情移入させてから展開させた戦闘シーンは、単なるのアクションシーンではなく、飽くまでヒューマンドラマの一環としてのモノであった。しかし、戦争に悲観しつつも、自分たちの街を守るため、大事な人を守るためといった各々使命をもって行動する主人公たちの姿が良く描かれていた。また、比較的短時間で登場人物をフェードアウトさせる割には、なかなか感動的な展開が為されており、登場人物が活きていて良かった。ただ死亡フラグが露骨すぎて、展開が読めてしまう事もしばしば。
最後は一番肝心な事が分からぬまま幕引きしたために、しこりが残る終わり方だった点がやや気になった。だが、この後の話は『誓約』にて再び語られているそうなので、続きが気になる人は原作を読み進めるか第4作目がアニメ化されるのを待ちましょう。
総じて、後半部はなかなか面白かった。時代背景は異なるが話をリンクさせる意味でも続編も観てみたい。