29号 さんの感想・評価
3.9
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
斬新!!!
この作品はタイトルだけで視聴を見送っりましたが、私が好きな沢城みゆきさんが出ていると知り視聴を開始しました。
大変興味深い作品でした。
原作は橙乃ままれ氏によるファンタジー小説ですが、2chに投稿された即興の小説をほぼそのまま書籍化されたらしいです。
全く知りませんでした。
この方の名前に見覚えがあると思ったら、最近まで放送されていたアニメ「ログ・ホライゾン」の原作者でもあるんですね。
原作の最大の特徴は登場人物の会話のみで構成されているようです。
さてアニメーションの方ですが、
全12話。
制作はクイーンズブレイドや一騎当千を手掛けたアームスで、監督は高橋丈夫氏で構成が荒川稔久氏。
このお二人は「狼と香辛料」と同じコンビですね。他の方もレビューで書かれていますが、少し似た雰囲気だと感じたのはこれと、とメインの声優さんの影響でしょうね。
まずこの作品はいろんな所が斬新です。
{netabare}
魔王と勇者が出てくるのに戦闘シーンにそこまでウエイトを置いてませんw
そして、登場人物に固有名詞が存在しません。
魔王、勇者、女騎士、メイド長、メイド姉などと呼ばれています…斬新過ぎるw
特筆すべきは世界観と切り口です。
人間と魔族が長い闘いを続けている世界で、私は実際の中世ヨーロッパに近い印象を受けました。
農奴→フューダリズム(封建制)
聖光教会→権力のある教会(カトリック)
同盟→同業者組合(ギルド)
こういった世界観に戦争がもたらす特需を経済の視点から話を展開させ、そこに勇者が登場するRPGでは絶対に語られない、権力者のエゴにより苦しむ一般市民や農奴の生活なども盛り込むあたりは大変素晴らしい切り口だと思いました。
絶対的な権力を持つ「聖光教会」の庇護により国を牛耳っている「聖王国」と、対魔王戦の盾となる変わりに金銭的な援助を受けている「冬の国」。
この冬の国にある冬越しの村がこの作品のメイン舞台になります。
とまぁダラダラと世界観を述べてきましたが、結局の所この設定にどーやって魔王と勇者が絡んでくるのか?って話ですよね。
それは……1話を見ていただければ分かりますw
この作品のもう1つの魅力は参加されている声優の方々です。
小清水亜美さん、福山潤さん(ここでも狼と香辛料のコンビ)
斎藤千和さん、沢城みゆきさん、戸松遥さん、
東山奈央さん、銀河万丈さん、福圓美里さん、
梶裕貴さん、神谷浩史さんなど…凄い。
これだけ実力者が揃っていると安定していますね。安心して視聴出来ます。
ここまで良い点を述べてきましたが、決してそれだけではありません。
まず、魔王と勇者にする必要があったのか否か…はっきり言ってその設定にする必要はないですw
途中で細かい設定にも多少の綻びが出てきますし、ストーリーが微妙です。
(9話のメイド姉の演説は良かったです)
これだけおもしろい設定や魅力的なキャラクターが揃っているだけにココは本当に残念です。
エンディングまでの道のりが不鮮明で終始手探り感は否めませんし、最終的なオチもスッキリしません。せめてあと1話欲しかった…。
まぁそれでも最初に述べた斬新な世界観に設定、魅力的なキャラクター(魔王可愛いですw)は見る価値はあると思います。
{/netabare}
視聴者を選びますが、普通の作品に飽きたって方にはオススメの作品です。
個人的にはもう少ししっかりと作り込んで欲しかったと言うのが本音です。
また上手く纏められず長くなってしまった。