yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
2期製作しますよね?
オペラ(歌劇又は楽劇)とアニメは似ている。
それらが総合芸術であるという点において。
また、芸の粋を集めてできたその作品が全くの娯楽作品であるという点においても。
オペラは、壮大で、華美で、馬鹿げた娯楽作品の王様である。
一流の歌手・指揮者・演出家・オーケストラetc.・・・
彼らが持てる芸の粋を集めて作り上げた作品、
それが、「カルメン」であれ「椿姫」であれ「蝶々夫人」であれ、
それらは、愚にもつかないメロドラマである。
だが、これらの愚にもつかないメロドラマは世界中で何百万回と上演され、今もなお多くの人々の心を捉えてやまない。
前置きが長くなった。
本作は「ラブコメ」である。
ラブコメ・・・これまでにいくつのラブコメが制作されたのか?
アニメでも漫画でもドラマでもラブコメは主要なラインナップとなっている。
手を変え品を変え、いろんな要素を加味しながら数多くのラブコメが世に送り出されてきた。
そして、本作、ラブコメである。しかも王道の直球のラブコメである。
目新しい設定など皆無(家がヤクザ程度の設定に目新しいという形容はできない)、あえて言うなら多少のハーレム設定があるかもしれないが(ハーレム設定そのものが既に目新しくないが)、これとてスパイスの域を出ていない。
設定に目新しさが無いとすれば、この作品が面白くなるかどうかは
①原作の力
②キャスティングまでを含めた演出の力
による。
①については、アニメ化されるという時点である程度のクオリティがあることは保障されている。
ということは、この作品の出来不出来は②に掛かっているといっても過言ではない。
結論から言って、この作品は大成功と言っていいと思う。
こんなにドキドキ、ヤキモキ、されられたのは久しぶりな気がする。
女の子の表情の可愛さにトキメキを感じたのも久しぶりな気がする。
女の子の唇に目を引かれたのは「電波女」以来な気がする。
全ては演出の力によるものである。
ラブコメ、ましてや少年漫画原作のラブコメ(しかもジャンプ)である。 大筋の展開は丸見えである。
次に起こりうることもほとんどわかっちゃうのである。
それでも、ドキドキさせられちゃうのである。
キャスティングもいい。
ヒロイン二人はほんと最高!
特に小野寺小咲の花澤香菜は千石撫子以来のスーパー当たり役!(個人的感想)
原作未読なんで、どこまでが原作の魅力でどこからが演出の力によるものなのか正確な判定は出来ないのだが、もともとの原作の魅力を土台にここまでの作品に仕上げた演出の力を最大限に評価すべきであると考える。
総監督新房昭之のもと、精鋭のスタッフたちが一流の声優陣と共に作り上げた、なんてことないラブコメ作品。しかし、それは、誰もが楽しめる本当の意味での娯楽作品、オペラにも引けを取らない、陳腐で素敵な一流の娯楽作品となった。
{netabare}小咲の秘密の場所で二人きりの楽と小咲。絶好のシュチュエーションにお互いにお互いを意識して、告白に踏み切ろうかと葛藤する二人。同時に話しかけたり、譲り合ったりとお決まりのやり取りの末に、いよいよ告白しようと決意した楽、言葉を発しようとしたその瞬間、鳴り出す携帯・・・こてこての展開、ストーリー的にもこのタイミングで告白がなされることは絶対にないと分かっていた、にもかかわらず、このシーンには見入ってしまった。いや、凄いね。たまらんよ。
そして、最終話の最後の千棘の「大嫌い」。やられた。完全にやられた。もうダメ。あんな笑顔で言われたら昇天。あの瞬間、魂が肉体を離れたね。
なんて言うかわかってたのにね。{/netabare}
新房&シャフトの底力、しかと感じた。
最後にOPとEDについて。
OPは2曲ともClariS
特に「CLICK」はクラリス史上最高の曲じゃなかろうか?
カラフルは別格として(個人的に思い入れが強すぎて正当な評価が不能の為)素晴らしい曲だと思いました。
アリスの活動休止(引退?)が残念でならない。
EDはキャラソング。
千棘、小咲、誠志郎、万里加の四人のラインナップ。
それぞれのキャラをしっかり掘り下げたそのキャラならでは曲作りは流石のひと言。
しかし、DLできるのはTVオンエアバージョンのみ。
フルバージョンは円盤に収録・・・
円盤買わんといかんのですか・・・ハードル高いっすね。
OP2曲目の「STEP」について
聴きこんでみて「CLICK」よりもお気に入りになった。
一歩を踏み出そうとする全ての人の背中をそっと押す歌。
しかし、それよりもなによりも、
それぞれの道を歩むこととなった二人の
新たなSTEPへと一歩を踏み出す二人の
それぞれのSTEPを祝福するエールなのではなかろうか。
そんな特別な想いのこもった歌なのではないか、
と私には思える。