にゃんにゃ さんの感想・評価
3.1
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
誰も知らない、世界一悲しいクリスマス
アムロとシャアが命をかけた戦いを繰り広げていたころ、
戦争とは無縁の世界で生きていた少年アルの物語。
戦争を知らない彼は、戦争を何かの冒険と勘違いし戦争に憧れているようだ。
偶然に知り合ったジオン軍新米兵バーニーを介して、アルは戦争ごっこに興じることになる。
しかし本人の意思とは裏腹に、戦争ごっこは、本当の戦争へと変化していく。
その瞳に映る現実にアルは何を感じるのか。。
前半のアルの無邪気さがとてもイライラした。
周りの大人の制止を聞かず、どんどん前に突き進んでいくアルには「死」の概念は存在しない。
だからこそ戦争は「ごっこ」としてしか存在し得なかったのだろう。
しかし「死」を目の当たりにしたことで、彼の考えは変化していく。
彼が選んだ道は、死から逃げることではなく、生きるために戦う道。
奇しくも同じ思いを持つ、バーニー、クリスと共に悲劇のクリスマスへと進んでいく。
そして、クリスマス。
もしかしたら、この時もなお、アルにとって戦争は「ごっこ」でしかなかったのかもしれない。
彼を動かしたのは、陳腐な正義感に裏打ちされた浅はかな冒険心でしか無かったのかもしれない。
しかし、最後のシーン。戦争の終わりを告げる先生の言葉に涙ぐむアルは、
間違いなく、戦争を理解していたと、そう感じた。
Fガンダムでは、たしかアムロ筆頭の連邦軍が「1年戦争」に勝利したわけだが、
この作品は、敗者ジオン軍よりの人間からの目線で主に描かれているのも面白い。
しかし、他のガンダムシリーズダメでも、また未視聴でも、
これはいけると思う。
心情描写が豊かで、各々の考え方、またその推移がとてもよく伝わった。
キャラデザもさほど、古臭さを感じさせずとても観やすい。
OVAたったの6話なので、お手すき時にでもどうぞ。