退会済のユーザー さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
要精神力。
宇宙空間を舞台にした少年少女漂流物。
いわゆるSF要素よりは、閉鎖環境で壊れてゆく人間心理を扱った群像劇の性格が強い作品です。
同じ漂流物でも「十五少年漂流記」のように希望や理性を描く視点ではなく、「蝿の王」のような人間の暗部を描く性悪説的な視点に立っているのが欝たる由縁。
最初こそ世界観の説明不足で置いてきぼりにされましたが、
負の螺旋を描くように落ちてゆくキャラ達の壊れっぷりがとっても印象的でした。
SF的なロボットや戦闘シーンも相応にありますが、それらはあくまで群像劇を演出するキッカケ程度。現実的な考証に基づいた戦闘のため、とっても地味です(逆に世界観は独創的だけど)
戦闘なんて飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ。
メインに描かれる群像劇での注目ポイントは、
①閉鎖環境での精神の衰弱と、
②社会秩序の変化。
救助のアテもなく、度重なる戦闘に身を晒すストレスが、彼らの理性の仮面を一枚づつ、ゆっくり確実に蝕んでいきます。
冒頭で「人の命を何だと思ってるんだ!」的な発言をしたキャラクターが、終盤では平気で…(自主規制
また、限られた人数&物資は、まさに現実社会の縮小版。集団の管理は、いわば政治。
一部エリートが全権を握る中央集権、絶対王政、貨幣経済と資本主義、独裁恐怖政治など、移り変わる社会システムは現実社会の縮図そのもの。
弱々しく日和見主義的な主人公だからこそ、集団を統率するリーダーではなく、社会システムを与えられる大衆側の視点にある点もポイントですね。
欝だ欝だと言われる反面、あまりにダークな人間模様だからこそ、そこに散りばめられた生々しいメッセージが際立っていることも追記。
第18話、「支配されている」大衆に対する、祐希のセリフにはハッとさせられました。