STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
無添加自然食品みたいなテイスト
一言で言うとお気楽ファンタジーバトルもの。
もっとも冒頭ではビスコテッィが深刻な状態にあるような描かれて方をしており、いざシンクが勇者として召還されてみると、お気楽ワールドが展開されるというインパクトのある演出がなされている。
この世界観だが、まんまゲームにできそうである。キャラ達のバトルは格闘ゲームに、アスレチック競技のような戦場はアクションゲームに、戦争自体はウォーゲームに、更に戦自体が興業であることから国家運営シミュレーションも導入できそう。
惜しいのはアスレチック競技が得意なためにシンクは召還されたのだが、実際での活躍は通常のバトルが多く、あまりアスレチック的なアクションが無かったこと。
色々細かい設定のある世界観だが、門外漢であるシンクにフロニャルドのことを教えることで、視聴者にも自然な流れで世界観が判るようになっている。なかなか良い演出である。
最近は割と斜に構えたり、ちょっとひねたところがある主人公の作品が多い中、シンクは直球ど真ん中といった感じの素直で元気ないい子。
迎えるフロニャルドの面々も敵も(あえてガレットを敵と書かせてもらいます)、味方もいい人ばかりで、この作品においてはいわゆる悪い人は一人もいない。
この面々、性格がいいだけでなく、腕も立つのだが、それぞれにちゃんと見せ場が用意されており、その活躍ぶりも見応えがあった。
序盤に明確な世界観が示されている場合、その世界のルールから外れるようなモノが、真の敵であったり、片づけなければならない問題だったりする作品が多いが、この作品においても中盤より楽しい戦とは異なる魔物という存在が頭をもたげてくる。
これが後半の山場であるが、ここにきてより重要な存在となってくるのがビスコテッィの領主であるミルヒ。
当初、戦闘に参加しない彼女はいわゆる癒し系キャラであったが、ここにきてミルヒの内に秘めた芯の強さが発揮される。結果、誰もが不幸な結果に陥ることなく、更にミルヒというキャラが魅力的になった。
最後の最後にシンクが再召還できなくなるという事態が生じるが、これも偶然シンクが再召還の条件をクリアしていて解決。
この辺のくだりはご都合主義とも取られかねないが、ここではシンクの性格の良さが効いてくる。「ああ、シンクならやっていそうだな」って感じで、見ていて自然で強引な感じがしなかった。
声優陣が豪華だが、単に豪華と言うだけでなく、配役が絶妙で適材適所という感じ。
「皆がハッピーエンドで終わり」かつ「バトル中心のストーリー」というある意味相反するような要素をうまくまとめた作品でした。
個人的には割と毒気があったり、ダークなものが好きだったりするのだが、ここまで徹してくれると、素直に楽しもうという気になれた。