「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス(TVアニメ動画)」

総合得点
69.0
感想・評価
797
棚に入れた
3985
ランキング
1939
★★★★☆ 3.7 (797)
物語
3.7
作画
3.8
声優
3.6
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ライトな空気感の中、映える戦闘描写

 以前、「翠星のガルガンティア」のレビューを書いた際、同時期に放映された「革命機
ヴァルヴレイヴ」、「銀河機攻隊 マジェスティックプリンス」のロボットもの3本の中で一番
SF色が強く感じると書きましたが、その論法でいくと一番ミリタリーテイストが強く感じ
られたのがこの作品。
 この作品世界の巨大ロボットであるアッシュなども個々の戦術目的に特化したディティールに
なっており、いかにも兵器といった感じだし、他のハード、ソフトなどの設定もミリタリー色が
強い印象。

 設定要素以外にもミリタリーテイストが強く感じられた理由として、キャラのドラマ部分が
希薄に感じられたこともあるように思えた。
 キャラの設定や相関関係をベースにすればもっと濃いドラマは作ろうと思えば作れたはず。
 例えば恋愛関係ではクギミヤ・ケイがヒタチ・イズルに好意がある描写ぐらいで終わって
しまったが、ケイを意識している感のあるアサギ・トシカズやイズルが気になってしまう
テオーリア(実際は母に対する愛情だったのでしょうが)などを絡めて、もっとドロドロした恋愛
関係にできそうだし、逆にイリエ・タマキ周辺などはラヴコメ的展開もできそう。
 後半より参加してきたクロキ・アンジュはもっとチーム内の和を乱すキャラにできた
だろうし、チームラビッツのメンバーの出生状況なども作った者と作られた者による愛憎劇
などができそう。敵味方に別れてしまったジアートとテオーリアの兄妹の葛藤などもできたかも
しれない。
 これは想像だけど、この作品は地球とウルガルの戦争描写に焦点を当てるために、あえて
キャラのドラマ要素は薄めにしたんじゃないかなと。
 人によっては食い足りなさを感じるかもしれないけど、変に散漫になるよりはこの方がいい
かな。
 もっともドロドロしたものは無くても、恋愛要素が希薄な分チームラビッツ内の描写はホーム
ドラマ的味わいがあったり、チームラビッツの面々の過去が判らない分、現在の人間関係を
大切にしていこうとする感情などはちゃんと描けていたように思える。

 そして、肝心の戦争部分は会戦全体のマクロ的描写から、1対1の近接戦闘まで見応えが
あり、特に近接戦闘シーンなどはスピーディーで動きも良かった。
 他作品だと主人公が乗る新兵器は敵味方を含めたそれまでの同系統の物より優れていて、
それにより大活躍をすることが多いが、ウルガルの技術を応用したアッシュでは、そう簡単に
戦局をひっくり返すことができない。こういった設定はある意味リアルさを感じさせるし、敵の
強さを印象付けるためにも、結構好きだった。
 もっともウルガル全体の雰囲気は一昔前の宇宙SFアニメの「悪の宇宙帝国」といった
雰囲気でしょぼい印象だったけど。

 ドラマ性は薄かったが、キャラ自体はかなり濃いメンツといった印象。
 作品の中心メンバーであるチームラビッツ自体、ザンネン5と呼ばれる始末だが、他の
キャラもどこかに残念な部分があるようで、そういった欠点部分が人間臭さを感じさせるいい
要素になっているように思える。もっともコミネ・ダイの残念な指揮能力は洒落にならない
ものであったが。
 各アッシュを担当するピットクルーもいい味を出しており、こういった裏方の描写が多いのも
ミリタリー要素を感じさせる要因の一つかなと。チームラビッツは戦闘時に編隊を組むチームで
あるが、各アッシュにおけるパイロットとピットクルーもそれはそれで一つのチームとして成り
立っており、こちらのチームワーク描写なども見ていて楽しい。
 キャラクターデザイン自体はかなり癖がある絵で、この辺は人によって好き嫌いがありそう。

 こういった濃いメンツのためか全体にコメディ的要素が強く、空気感は明るい。シリアス
展開もその対応や解決法は笑えるものだったりで、どこまで本気なのか疑いたくなることも
多々。
 ただ戦況自体は明るいとは言えるものではなく、アッシュのおかげでなんとか大敗を免れて
いるといった感じ。この辺をシリアスに描くとかなり暗いものになってしまいそうで、明るい
空気感でうまくバランスを取っているのかなと。
 全体的雰囲気が明るかっただけに後半に入ってからのチームドーベルマンのランディ・
マクスウエルとパトリック・ホイルの死はインパクトがあった。そもそもこの作品、このチーム
ドーベルマンを始め、他のキャラも結構死亡フラグが立っており、それでいて誰も死なないもの
だから、てっきりミスリードを誘うためのものかと思っていただけに、とんだフェイント
でした。

 キャストに関してはイズル役の相葉 裕樹氏とスルガ・アタル役の池田 純矢氏が、顔出しの
役者経験はそれなりにあるとはいえ、声優としてはほとんどキャリアのない状態でここまで
重要な役をこなせるとは、ちょっとびっくりした。

投稿 : 2014/03/23
閲覧 : 286
サンキュー:

7

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