シェリー さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
邪魔するものはなにもない
アストラエアの丘の上に建てられた3校の女子校、聖ミアトル女学園、聖スピカ女学院、聖ル・リム女学校を舞台に繰り広げられる女の子同士の同性愛を描いたもの。
女性同士のコミュニティだけが息づく閉鎖的な花園で女の子たちは生活を共にし、それぞれ違う「なにか」を求め合います。
主人公は編入してきた蒼井渚砂ともう1人此花光莉の2人の少女。
この2人がそれぞれの憧れの上級生に惹かれていくことを軸に物語は進んで行きます。
渚砂はこの学校で重き伝統のある「エトワール」の称号を持つ花園静馬に、光莉は人望の厚い鳳天音に、
逆に年上である彼女たちもまた自分にないものを持つうぶな後輩に気持ちが動いていることに気付きやがて惹かれていきます。
そうやって誰かが誰かを好きになることで自覚される恋の気持ちは対象者だけではなく、
彼女らの周りの人々にも波紋のように広がっていき今までの関係を保つことが難しくなっていきます。
そこから巻き起こる女性同士ならではの葛藤や衝動やパートナーになれない苦しさがまざまざと描かれています。
この作品はそういうところは本当に良く描けていると思うのですが、
映像作品としては画の動きが少なくてほんの少したいくつでした。
どこかでグッと引くようなところが欲しかったです。
でもまあそれが百合シーンなのかな。個人的にはそれももっと欲しかったかなw
作画に関しても体の接触まで描くのであれば、せっかくなので女の子たちを少しでもより魅力的に描いてもらいたかったです。
個人的な願望ですw
そんなことを言いつつもラストシーンの静馬にはすごく感動しました。
彼女は最後の場面で自分にまとわりつくあらゆる種類の枷を叩き壊して渚砂にぶつかります。
その茨を焼き尽くす炎のような情熱とゆるぎない意志は見惚れるほどに美しかったです。
回り道もしたけれど恋に自分に真正面から向き合い、どんな薔薇よりも赤く、どんな百合の花弁より清くあり、
また彼女ほど真剣に恋をする人はこの世界にそう多くはいません。
静馬は恋というものがなにによってもはばかれぬ、まっすぐなものであることを示してくれました。
この場面は本作『Strawberry Panic!』を象徴する素晴らしいシーンだったと僕は思います。
百合に抵抗がないのならぜひ一度観てみてはいかがでしょう。