沙悟浄 さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
現実に近い生っぽいアニメ
見る人を選ぶアニメだと言われているが、これを楽しめない人は理解力が足りないだけなので、小説とか本を読んで理解力や知識を増やそうね、頑張りましょう、と思う。
この作品の素晴らしいところはまず主人公が無力であるということと、その無力さに負けずに歯を食いしばって行動するところ。なぜ素晴らしいかというと、普通に描くとそれは矛盾して成立しないから。無力であるのに行動できるのは無力ではないから。しかし作品を見ればわかるが、ここに矛盾を感じない。なぜ矛盾がないかといえば、力の描かれ方が自分をコントロールする力ではなく他者をコントロールする力として描かれるから。それは政治力だったり武力だったりするが、主人公にその能力はない。けれど行動する。そこに私は感動する。私は理想主義者なので。また極限状態の中での葛藤によって成長していく姿も前出の矛盾を消している。
欝アニメつながりでエヴァと比較するならシンジ君は選択すれば必ず間違える世界の中で、選択したくないんだ!と、もがく人物。相葉昴治は選択すれば必ず間違える世界の中で、もがきながら自分なりの答えを見つけた人物。その答えも他人から見れば間違いでしかないが。(必ず間違えるというのは全員にとって正しい決断はありえないということ)
もともと才能があって行動するキャラクターはその才能に引きづられているだけで、キャラクター自身に決断する自由はない。シンジ君がその典型で、彼は物語に翻弄されて巻き込まれていくばかりだ。これは私たちが生きる世界にかなり近い。だが私たちは決断して選択する。相葉昴治はこれに近い。
またこの作品は群像劇で様々な主義主張を持った人物がいるので、自分の価値観に合うキャラクターがいるのではないだろうか。キャラクター同士の対比、たとえば相葉兄弟の急進的か保守的かのようなところを見るのも面白い。
あとは大人のいない空間での共同生活なので、大人とは何か、成熟とは何かについて考えさせられる。これは現代の日本の抱える問題の一つで非常に重要な問いかけであると思われる。作中での大人は社会的機能を果たすだけの存在として描かれているが、あなたはどう思うか。
私はある作品の面白さはその作品からどのくらいの想像力が生まれ出るかということだと考えている。この作品から私は様々なことについて考えることができる。だからこの作品はとても面白い。
どうせアニメをいかにキャラクターに感情移入できるかだけで見てる女みたいな奴ばかりなんだろ。これは単なる愚痴だが。まぁ別にいいんだけどね。