sekimayori さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
コンコルドの誤り
という言葉があります。
「何かに時間やお金をかけていてその投資が失敗に終わることが途中で解っても、投資をやめることができない」という困った人間心理を表すものだそうで。
日常系とギャグの分水嶺を、新人声優の棒演技と意外と秀逸なネタで走り抜けた、埋もれた怪作であるこのアニメ。
3話まで観て「これ視聴切れないのってただのコンコルドの誤りだよなー」と思っていたら、翌週から普通にハマりました。
少なくとも3話までは、ギャグは滑るし作画は怪しいし、何より声優さんが味があるとかいうレベルじゃなく下手で、30分間が長いです。
よほどの暇人以外は脱落したはず。
しかし、4話のテコ入れ回から露骨にメタネタを多用し始め、今までとの落差もあってか、かなり笑える!
{netabare}作画枚数節約、深夜アニメの切り時、お色気への路線変更計画など、コアでメタなネタの数々を、最終的には話数勘違いネタで全部まとめてオチをつけ、それでもEDで強引にテコ入れを敢行……。
その根性には、爆笑と同時に感服しました。{/netabare}
メタネタって普通にやると鼻につくのだけど、いい感じに棒な(この頃になると慣れて、というか麻痺してきてる)声優さんたちの演技のおかげで素直に楽しめるんだよなあ。
その後も、{netabare}教科書文学改変、しりとり心理戦、エアリフレッシュロゴス、再度の話数勘違いネタ=最終話詐欺と、{/netabare}低予算と低注目度を逆手にとって、もうやりたい放題www
他の方が「ネタのレンジが広い」とおっしゃってましたが、確かに毎回思わぬ角度から笑わされました。
ダレる回があってもコンコルドの誤りで乗り越えられ、そしたら実はその回にも天丼(ネタの反復)のための伏線が仕込んであったりで、ほんと侮れない。
もうここまで来ると、欠点すら製作陣がわざと仕込んでるのでは、みたいな疑心暗鬼に駆られ、常時緊張感を保たざるを得なくなって。
すると今度は、愛着の湧いてきたキャラの可愛さやアザラシアイキャッチがいい箸休めになり、完全にこのアニメの虜なわけです。
小ネタ乱発とそれまでの総決算を両立し綺麗に〆た最終回も、観終って晴れ晴れした記憶があります。
決して万人にお薦めはしないし、もう一度観ろと言われたら二の足を踏むけれど、他ではまず体験できない不思議な味わいを持った作品。
AクラスのネタとB級の作りのフュージョンという風味絶佳。
少なくとも私はかなり好きです。
あにこれ方式の評点を客観的につけると総合評価が低くならざるを得ないのが悔しいくらい。
コンコルドの誤りと言ったけど、時間投資分以上の楽しみは回収できたから、正確には誤りじゃないな。
最後に。
声優が下手だと貶しましたが、メインキャラの皆さんは回を重ねるごとにお上手になっていった気がします。
この経験を糧に、過酷な声優業界を生き抜いてくださることを願ってやみません。
次回作ではぜひ、棒からの脱却、イメチェンデビューしてください。
だが玄武、てめーはダメだ。
いや、爆笑したけれどもさ。
【個人的指標】 71点