しゅりー さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
るろ剣愛に溢れた悲しい名作。
るろうに剣心のOVA作品。
TVアニメでは描かれなかった原作終盤の一幕、
剣心が人斬りだった頃の物語を映像化した作品です。
原作のイメージに割と近かったTVアニメ版に比べ、本作の作画は非常に写実的です。
精緻に描かれた作画でやわらかく動く髪、戦闘時の顔のシワなどが印象に残ります。
風景の描写も非常に美麗で、また実写の映像とアニメを合成したシーンも何度か出てきます。
あまりに作画が違いすぎて完全にTVアニメとは別物に見えます。
岩崎琢さんによる澄んだ音楽は聴いているだけで心に訴えかけてくるものがあります。
キャストは当時としてもだいぶ豪華で、桂小五郎(CV:関智一さん)や高杉晋作(CV:高木渉さん)といった
史実上の人物と雪代巴(CV:岩男潤子さん)の配役は原作のイメージに良く合っていたと思っています。
また剣心役の涼風真世さんはTVアニメと違い、少年らしい危うさのある剣心を好演されていて聴き応えありです。
物語は基本的に原作と同じ流れで描かれますが、かなり脚色されています。
特に大きな相違点として剣心が技名を叫ばない、ギャグ要素が全くないことが上げられます。
それ以外にも、会話の流れがかなり変更されていてメインキャラの心情が丁寧に描かれていたり、
サブキャラの台詞によって作品の雰囲気をうまく描写しています。
サブキャラとしては小萩屋の女将さんは良い役回りをしていたと思います。
また、各キャラの一つ一つの仕草が丁寧に描かれていて言葉がなくても感情が伝わるようです。
本編後半の剣心が巴の日記を見た時や、剣心や巴が見る幻の演出は
今でも寒気がするほどの凄みがあります。
剣心と巴の物語は、バッドエンドが確定していることがわかっていても
見届けなければと一気に視聴してしまう程、惹きこまれるものがありました。
とは言え、かなり憂鬱な物語で、グロと言う程ではないにしろ血生臭い演出も多いです。
鬱展開に耐性のある方、もしくはるろうに剣心が好きな方には是非にとオススメします。