しゅりー さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
見応えのある良質SFアニメ
今から約60年後。
宇宙で人が暮らせるくらいに宇宙進出が進み、
宇宙のゴミ(スペースデブリ)が社会の問題になった時代。
その時代に暮らす人々や宇宙開発の現場を描いた物語です。
幸村誠さんの漫画(全4巻)が原作ですが、
アニメはストーリーや設定に大幅な追加、変更がされています。
先に言っておきます。
私個人としてはどちらかというと原作のほうが好みです。
漫画とアニメにどれほどの相違点があるのかは
ネタバレになるため詳細を伏せさせていただきますが、
少なくとも私は漫画のほうがすっきりした物語という
印象は持っています。
しかし、それでアニメが嫌いかというと…割と好きだったりします。
原作の大事なエピソードはしっかり描きつつオリジナル要素を
うまく混ぜ合わせて、アニメ独特の味付けで魅せてくれる感じです。
アニメ特有の描写としては、真空で発生した音は伝達されない表現があります。
そのため宇宙では物がぶつかっても音が発生しなかったりするわけですが、
宇宙以外でも窓越しに音が聞こえない状態を描写したり、
通常であれば直接見せるような描写をあえて視点をずらして
見せなかったりと視覚、聴覚の欠損部分をうまく使った描写が映えます。
キャラクター面でも絵柄は地味ですが、ハチマキやタナベなどの原作キャラと
クレアや事業部長などのアニメオリジナルキャラのどちらも
丁寧に個性が描写されていて、すぐに印象が固まります。
中川幸太郎さんの劇中BGMと黒石ひとみさんの挿入歌も
「ガン×ソード」や「コードギアス」など谷口悟朗監督の
「プラネテス」以降のアニメと同様に聴き応えのある名曲揃いです。
アニメとしての欠点は現実世界の不平等や格差を思い起こさせる
憂鬱で目を背けたくなる描写がとても多いことと、
前半の恋愛描写が余計なことあたりでしょうか。
観る人を選びますが、とても良質なSFアニメだと思います。
もしアニメが好みでしたら漫画も読んでみると2度おいしいかもしれません。