ラ ム ネ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
今の気分はそう、ジャズっぽい。
契機は、「JAZZ」「音楽・菅野よう子」この二語を発見したことだ。クラシック音楽の方が好みだが、ジャズはまた違う味があって良い。今の気分はそう、ジャズっぽい。スウィングしている。まあどうでもいい。 そして「菅野よう子」。この組み合わせで最初に思い浮かぶ作品が「COWBOY BEBOP」だったのは私だけだろうか。そのアニメ作品はSFアクション物として「渋い!」と有名で、バックミュージックのジャズがまた物語に一層特徴的な印象を与えていた感触があった。しかし本作は、青春只中の高校生がジャズを通しての人との関わりが描かれ、ジャズがBGMとしてではなくストーリーの根底にあるという。音楽面への期待の程度は高かった。が、しかし!・・という展開はなく、最初に言ってしまえば音楽は非常に好感を抱ける。最終回までの全てのタイトル名にスタンダードなジャズ曲名を使い、OPの音楽でまた作曲に耳を傾ける。一話の題名はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの有名曲「Moanin`」だ。考えつく限りでは、四半世紀ほど自分より長く生きてる知り合いの喫茶で流れていたことや、NHKの「・の壺」とかのOPで聞いた事がある。出演のおじさんがいらなかった。まあどうでもいい。別の曲で「サウンドオブミュージック」からなど、どこかで聞いた曲がある筈だ。ジャズの深い話題は垣間見えなく、ジャズを全く聞いたことがない人でも気軽に視聴できる作品である。何せ青春模様の描写も多いからだ。音楽の話題ばっかり語られても嬉しいんですけどね(笑)
舞台は1966年初夏の長崎。父親の都合で叔父のいる長崎の高校へ転入してきた西見薫は、転校初日にジャズリズムを刻む川渕千太郎と出会う。千太郎の幼なじみの律子は、薫がクラシックピアノを弾けると知ると、千太郎と引き合わせ、薫は千太郎のドラムプレイを目の当たりする。その日から薫の頭ではジャズの響きが鳴り響いている。ピアノとドラムのジャズセッションから物語が始まった・・。 タグライトは「僕たちの間には、いつもJAZZが流れていた」原作・小島ユキ。小学館漫画賞受賞作のアニメーション化である。
高校生がJAZZに惹かれる?そんな意見があった。薫と千太郎のように、人に出逢えば別の世界へ引きずり込まれることぐらいあるだろう。ありえますよ(笑)ありえなかったら、世間の高校生はどれほど平坦なことか。人は影響を受ける生き物なのだから。逆に興味を引く台詞でしょう。 高校生がJAZZ。ふと思い浮かんだのが小学生の時に見た「スウィングガールズ」確かそんな名前だ。面白かった記憶がある。クラシックだが「のだめカンタービレ」の実写は良かった。あれ、どっちも主演が上野樹里だな。あら、竹中直人がどっちも出てる。まあいいや。題名の「アポロン」は意味合いがよくわからないけど、ギリシャ神話の「アポローン」のことだろうか。芸術と音楽の神だから内容と接点はあるか。坂道に音楽の神、みたいな。まあいいや。
語られる青春模様は、甘く苦く酢っぱく辛かったりする。そしてその感情に絡む音楽。音楽とは心の通じ合いとも言え、時に言葉よりも効力を発揮する。ジャズセッションともなれば、音で喧嘩し、音で仲直りまである。戸惑いや好奇や嫉妬やら、様々な主人公群の感情が楽器から溢れ出ている。言葉もありだが、音が心情を伝うということが、芸の細やかな映像から改めて清々しく感じられた。
例えば遊び心満ちるセッションでの臨場感など、JAZZ演奏シーンは一番の見せ場だが、それだけに留まらない。学生運動は時代をかぐわせ、三角な恋愛もその行く末も音に乗る。数は少ないが内容が詰まる抽斗を持っている作品だ。彼等のリズムは続いてゆく。
2014.3.16レビュー投稿。