takarock さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
アニメ「咲-Saki-」の構造研究
*初投稿 2014年3月14日
私は小学生の時麻雀を覚え、中学の時は家で卓を囲み、
高校の頃にはほぼ毎週末徹麻。模試の答え合わせを雀荘でなんてこともありました。
そんなダークな青春を共に過ごした友人2人もTV放送当時このアニメを視聴していたのですが、
結果、「こんなもの麻雀じゃねー!」と2人とも脱落。
なぜそうなってしまったのでしょうか?
今回はそれを考えてみたいと思います。
2人とも「アカギ」は大好きなのですよ。
でもアカギだってあまりに途方もない打ち回しをしますし、
その点では咲とあまり変わらないような気がしますが、
一応「理」があるわけです。
この牌を切ったら相手はどういう選択をするかとか、
相手がこういう心理状態にあるからこの牌を切るとか
たとえそれがどんなに現実離れしたものであっても
「アカギ」にはそういう理が一応存在します。
一方本作ではステルスモードなる自分の存在を消す能力で
相手にリーチをかけたことすら気づかせないって時点でもはや理など存在しません。
「そんなわけあるか!」となるわけです。
本作は麻雀のやり取りを楽しむことが主ではありません。
ポイントとなるのはその構造です。
つまり本作では
不調、苦戦
↓
回想シーン突入
↓
迷いを断ち切って覚醒!!「ロン!!!」or「ツモッ!!!」
だいたいこのパターンの繰り返しです。
覚醒シーンは映像やサウンドのエフェクト、そしてBGMで盛り上げに盛り上げ
視聴者がカタルシスを感じるように作られています。
苦戦→覚醒→大活躍ってのは
極めて古典的な手法ですが、その効果は絶大です。
観てる側は否が応でもテンション上がってしまうものです。
本作は上記のような構造で成り立っているとすると、
それこそトランプのポーカーでも
迷いを断ち切って覚醒→手札を引く(ジャキーン!)→ロイヤルストレートフラッシュ!!
と成立するので別に麻雀である必要もないわけです。
麻雀特有の駆け引きや戦略なんてごくごく表面的なものしか描かれていないので、
麻雀の知識が全然なくても
なんかピンチっぽい、なんかすごいのあがったっぽいといった
雰囲気だけ感じ取れればそれで何の問題もないのです。
大事なのは覚醒シーンからのカタルシス! これですね。
まとめると、本作は麻雀を知らなくても楽しめる麻雀風能力バトルアニメです。
逆に麻雀打ちが麻雀アニメとして観たらまず楽しめないでしょう。
繰り返し言いますがこれは麻雀「風」能力バトルアニメです。
私はそう割り切って視聴したからこそ2人の友人と違い本作を楽しむことができたのです。
麻雀打ちで本作を楽しめたという方は少なからずこう思ったはずです。
「これはこれでありだ」と。
う~む、レビューを書いてたら打ちたくなってきた。
誰か一緒に打ちませんか?w