dolcetto さんの感想・評価
4.1
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
きっと何者にもなれないお前たちに勧める!生存戦略しましょうか!
※結構軽いノリで描かれていますが、内容はかなり重たい話です。
主人公は双子の兄弟のカンバとショウマ、妹のヒマリであり、妹のヒマリは病気によりいつ死んでもおかしくない状態であり、水族館で倒れ亡くなってしまうが・・・
「生存戦略ぅぅぅぅ!!!」の掛け声と共に水族館で買ったペンギン帽子をかぶった姿で蘇る。
しかし、それは{netabare}余命を伸ばしているだけであり、助かったわけではないとヒマリの別人格から告げられる。そして、ヒマリを助けたければ、ピングドラムを手に入れろと命じられる。{/netabare}
デフォルメされた可愛いペンギンが見えるようになったり、{netabare}姉の遺した日記に書かれていることを運命とし実行しようとするオカルトサイコ娘を追いかけたりと、{/netabare}物語の前半はかなりコミカルに描かれています。中盤からは登場人物の回想等が語られるようになり、前半の軽いノリを保ちながらもかなり重たい話に入っていきます。
そして、この物語で度々語られる16年前の事件とは、その日に生まれたオカルトサイコ娘ことリンゴの姉モモカが地下鉄で亡くなった日である。{netabare}あるオカルト組織の首謀者が世界を破壊する計画を実行しようとした日、それを阻止しようとしたモモカは首謀者と相討ちになっている。{/netabare}おそらく1995年3月20日に起こったアノ事件が元になっていると思います。
ピングドラムとは?
{netabare}最初はリンゴの持つ運命日記の事だと思われていたが、最終的にはカンバとショウマが分け合った物がピングドラムだったようです。そして、それは運命日記から呪文を探しだすヒントだったようです。{/netabare}
なぜそれが必要なのか?
{netabare}16年前の計画が再実行される事を阻止する為でしょうか。物語では呪文を唱える事で運命の乗り換えができると言われている。{/netabare}
実際に存在するものなのか、それとも別のものをあえてエグイ表現に変えているのか。内容は抽象的な表現が多くかなり分かり難いです。ある程度、脳内補完する必要があります。
おそらく元となったであろう事件を知らない今の子供には、理解し辛い内容となっているでしょう。この物語の軽いノリや作画,音楽であるからこそ、見ていられるのかもしれません。
この作品において物語,作画,音楽等は誰にでも見る事が出来るようにする為の単なる手法の一つであり、その良し悪しは関係なく、{netabare}事件による被害者遺族,加害者の子供,その事件の当事者達の苦しみ,葛藤,恐怖を描きたかったのだと思います。そして、その様な事件が二度と起こらないためには何が必要か?誰もが箱の中で孤独であり、選ばれるか、選ばれなかったかで運命が決められていく世の中を恨むのではなく、箱の中から手を伸ばし分け合う事、ピングドラムが大切だと語りたかったのでしょうか。{/netabare}生存戦略の一つの答えとして「輪るピングドラム」を伝えたかっただけなのかもしれません。