「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(アニメ映画)」

総合得点
79.4
感想・評価
1574
棚に入れた
9377
ランキング
504
★★★★☆ 4.0 (1574)
物語
3.8
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.1
キャラ
4.1

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退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

劇場版みたけどまだ棚に送ってないので普通に「あの花」みた感想

もう語りつくされた作品かと思いますが
最近劇場版のBlu-rayが出てたんで買ってみました。

超平和バスターズと名乗る仲良し6人組が織りなす恋と友情アニメ。
じんたん、めんま、あなる、ゆきあつ、つるこ、ぽっぽ、の6人が登場人物です。
幼少期、めんまの事故死が原因で、仲良しグループはバラバラになってしまった。
そんな中、死んだはずのめんまが、主人公じんたんの目の前に現れて
さて、どうなるのか…というもの。

1話見たら分かると思いますが、このアニメ、あまりに魂胆が見え見え。
ED曲のZONEの「secret base ~君がくれたもの~」のカバーを持ってくる辺り、
釣られてたまるかって感じですね。
視聴者を完全に泣かせにかかってます。
幼稚で、捻りのない、在り来たりなやり口で…
そんなんで泣くかー!

でも…あ、やばい。ラスト付近で…
堪え切れませんでした。EDのイントロ入った瞬間目頭が熱くなってしまった。
これ誘い泣きって言うんですかね。
これでもかってぐらいキャラもボロボロ泣いて若干引き気味、演出もベタベタ、
だけど気が付くと…?あれ?
目をゴシゴシしてる自分がいる。

ヒロインが幽霊設定は見飽きてるし、しかもその幽霊が物に触れたり、
生きてる人間かのごとく普通にじんたんに話しかけてたり色々おかしくて
陳腐だなぁとは思うんですが、それが思いの外気にならない不思議が
このアニメにはありました。
めんまが見えない周りの反応はまるで出来の悪いミュージカルって言った所で
ツッコミどころ満載なんですけど…。

あまりに狙い澄ました感動演出だと高い確率で苦笑いしながら適当に流し見を
決め込む私が幼稚な設定自体忘れて、純真な心を取り戻したかのように
泣かされてしまった。
一体なぜだろう。
視聴後スタッフロールに流れる文字を霞んだ瞳を通して観ながら的外れかも
しれないけど一生懸命考えてみた。

まず注目したのが綺麗な絵です。
空気のおいしさが伝わって来そうなほどの清々しくも綺麗な景色。
だが実際これが直接的な感動に伝わったとは考えにくい。
絵が綺麗なだけで、中身がない作品なんてこれだけアニメが量産された時代だし
いくらでもある。また、そうしたアニメでシリアスな感動展開になって立派な台詞を
言っても涙に結び付かない事の方が多い気さえする。
寧ろあの花に関して言えば、稚拙なやり取りだったからこそ感動に結び付いたという
印象の方が強く残った気がするのだ。
…その正体はいったい何だろう。
もう少しぐらい余韻に浸ろうか、と映像を巻き戻している過程で私はある事に気付いた。

それは感動シーンの要所要所に映し出される主人公の"文字入りTシャツ"です。
稚拙なやり取りが気にならない要因はここにあるのではないだろうか??
感動を誘う大事なシーンで踊るこの巫山戯たTシャツの文字。
ワザと狙って見せているとしか思えない。
高い確率で変なタイミングで変な文字が映り込んでいます。

例をひとつ挙げるなら、じんたんが皆に唆されて、めんまの事を好きか嫌いかを
言わされるシーン。
ちなみにじんたんは、過去も同じシチュエーションに立たされた事があり、
カクカクシカジカあってこの半強制的な皆の後押しにトラウマを持っています。
そんなじんたんの事を知りつつも、めんまにあの時伝えられなかったじんたんの
本当の気持ちを何とか引き出そうとするその他メンバー。
ゆきあつの思惑でやや強引に再現された「あの日」。
裏にある意図を汲み取ったあなるが発した言葉が時間を巻き戻す始まりの合図でした。

「じ、じんたんってさ、めんまのこと、好きなんでしょ?」

そのあなるの問いを耳にして、目を丸くするめんまと静まりかえる空気。
皆は戸惑うじんたんが次に口にする言葉を待っています。
このままだと駄目だ、このままウヤムヤに終わらせてはいけない。
広がった波紋をさらに大きいものに変えるため、お経のようなぽっぽの呟きが続きます。

「いーえ・・・言ーえ・・・言ーえ・・・言ーえっ!!」   ?

ここで全体を映すため必然的にじんたんTシャツの文字が画面に映るのですが
その時書かれた文字はなんと「白ネギ」でした。

見た瞬間おかしいな?とは思ったのですが、この時は私、その正体には気付けませんでした。
多分、これは意図的に注意を逸らされたんだと思います。
本来ならぽっぽの掛け声の所で、なんぞこれはー!と苦笑いして興味を失ってしまう所なのですが、
この文字をみた瞬間、私の頭は確かに真っ白になってしまった。

振り返れば「おかしいところは分かってやってるから、泣ける部分だけ自分の頭の中で抽出して
上手い事泣いてね!」と無意識にリードされた気さえする。

※ちなみにレビューと関係ないですが、私は以前観光目的と思われる外国人が「痔」と
書かれた服をきて歩いているのをリアルで見たことがある。

人間、本来そこに相応しくないものが映像として現れると、瞬間的に頭の中が
クリアになって意外と純真になれるのかもしれませんね。

最後の「もーいーかーい!」の所でもじんたんは「真心」と書かれたTシャツを着ていました。

これが単にオシャレ無精でダサい主人公を演出するためだけに着せた服だとは私には
どうしても思えないんです。
やや恥ずかしくて口にするのは憚られますが、サブヒロインのあなるって名前だってきっと
そうですよね。

陳腐なのは分かってるけど、それで泣けるのもアリなんじゃない?
なにも全部が全部真剣にやらなくたって泣こうと思えば泣けるんだよ。

このような軽さこそこのアニメのカラクリであり、また、味わい深さであったようにも思います。

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劇場版のレビューとしては、中身は6割ぐらいはTV放送版の使いまわしって所でした。
(私が内容ちょっとだけ忘れていたので、割合としてはもっと高いかも)
初見じゃないので構成は良かったし十分内容には満足でしたが、
もし劇場版から入った人にこのアニメの魅力が伝わるかといえば、
ちょっとだけ微妙な気がする。TV放送版から見た方が良さそうです。

投稿 : 2014/03/11
閲覧 : 468

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