プラ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
過去の自分と現在の自分の狭間で揺れ動く感情
「多田万里」。高校時代、同級生から告白の返事を待つ橋の上で交通事故に逢い、それまでの記憶を喪失。そして、新しく生まれ変わった多田万里として生きている。
昔の記憶を持たない多田万里は、大学で新しい友人たちを作り、サークルに入り、恋をし、新しい自分を無事スタートし大学生らしく生きていた。
しかし、皮肉にもサークルの先輩は高校の時好きだった同級生・リンダ。そのことに気づいてからだんだんと記憶がフラッシュバックすることが多くなり、「多田万里」でいる時間が増えていった。どうやら、「多田万里」と多田万里は同時に生きられないらしい。医学的には「多田万里」が正常で、多田万里は異常。
新恋人の香子も破天荒で自分勝手な性格を受け容れてくれる万里のことを愛し、受け容れようと努力しようとしていたが、それも我慢の限界になり、決別に至る。もちろん、これは本心ではないが、多田万里が「多田万里」に戻った時、自分のことをすっかり忘れて置き去りにされるショックを少しでも和らげるためだろうか。
恋人・男友達・先輩・女友達それぞれには言えないこと…逆に、恋人・男友達・先輩・女友達だから言えること。20歳になる前の大学生という子どもでも大人でもない狭間の感情。秘密を知って傷つき、秘密を知らされないことに傷つき、香子と友人らはバラバラになりそうになる。
多田万里はみんなにすべてを打ち明けようと決意するも、「多田万里」が邪魔をしてうまくいかない。香子はさらに傷つき、友人たちは離れていき…
万里は自分に関する二つの記憶の間で揺れ動き、所在なきままゆらぐ自分に強い不安感を覚えていた。それは、もしかしたら死ぬよりもつらいことなのかもしれない。大学での記憶が消えつつあるのを自覚した万里は、それを”おかめら”におさめ、メモを書き残す。
しかし、大学で出逢った友人たち・香子のそれぞれ心の中に多田万里という存在を忘れず、居場所を作ってくれたこと・帰りを待ち続けてくれることを感じ取った万里は、記憶の消失を受け容れる。
学祭の当日、サークルの出し物の阿波踊りを踊り終わった後、サークルの先輩たち・大学の友人たち・香子の前で、多田万里は消えて行った…
地元に戻った「多田万里」のもとに訪れた香子。失った記憶のDVDを渡しに来た。その袋に入っていた”手鏡”をきっかけに多田万里の記憶が蘇りだす。”あの橋”でリンダからYESの返事をもらい、「多田万里」との決別を果たした万里、彼の先に待つのは香子との明るい未来であった。
・・・といった内容。子どもでもない大人でもない大学生の感情が、個人的には面白かった。ほとんど万里の視点で描かれていたけど、香子・リンダ・おかちゃん・やなさん・二次元くん・ナナ先輩、それぞれの視点で見てみるとより楽しめるかも。
そして、なにより香子のファンになってしまった。堀江由衣さん、GJ。