ワタ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
DAYS of DASH
凡人が才能の壁にぶち当たり、挫折しながらも奮闘する物語なんてありふれてますが
本作の場合、凡人(主人公)の描かれ方という意味で、ちょっと毛色が違うと感じます。
やりたい事があっても、失敗した時のリスクが頭をよぎり尻込みしてしまう人は多いだろうし
そもそも、明確な夢や目標を見つけることすらできずに
くすぶり続けてる人も少なくないのが現状ではないでしょうか。
{netabare}本作の主人公・空太も、駄目だったことを先に考えて、時間の無駄になるとか
傷つくことが嫌だとか、自分に言い訳ばかりして、動き出そうとしなかった。
そんな彼が、奇人の天才ばかりが集うさくら荘に入居し、そしてましろと出会い、
その圧倒的な才能に怯みながらも、創作意欲を刺激され「変わりたい」と思った。
そして実際にゲームの企画を練り、会社に応募するという具体的な行動に出るようになるが
その過程で幾度となく挫折し、理不尽な現実を呪い、周囲に八つ当たりもしてしまう。
そんな空太の態度は、おそらく多くの視聴者にとって好ましくないものに映ったでしょうが
たとえ結果が出なくても、諦めずに這い上がろうとする姿勢は素直に素晴らしいと思える。{/netabare}
本作は、努力の末に夢を掴み取るような一般的な成長物語ではありません。
空太は凡人である以前に、あらゆる点において経験値不足。
成長物語としての主人公のスタート地点は、だいぶ後方に位置してます。
カタルシスに欠けてしまうのは確かですが、これはこれでリアルな成長物語として評価したい。
2クール目からは色恋沙汰が中心となり
本作ならではの、凡人の挫折と奮闘という物語の要素が薄まってしまったのは残念。
終盤の{netabare}さくら荘存続の危機からの{/netabare}流れも正直微妙で
卒業式の一幕は、青春の1ページとして許容できる範囲を著しく逸脱。苦笑せざるを得ない。
とは言え、ラノベにしてはシビアな要素満載でありながら
「恐れず一歩を踏み出そう」「失敗してもその経験は決して無駄じゃない」
という前向きなメッセージを素直に感じ取ることができる作品。
例の騒動や作品タイトルなど、色んな意味で損してるのが勿体ないですね。
疾走感溢れる前期ED曲が良い。本編終わりにイントロを被せてくる演出が正直たまらんw