「新世紀エヴァンゲリオン(TVアニメ動画)」

総合得点
90.7
感想・評価
6267
棚に入れた
25340
ランキング
50
★★★★★ 4.1 (6267)
物語
4.1
作画
3.9
声優
4.1
音楽
4.3
キャラ
4.2

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ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 2.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

馬子にも衣装

【新世紀エヴァンゲリオン】は、思春期の中学生男子の葛藤を、仰々しく描いていただけの物語です。
心の壁をA.T.フィールドというバリアで表現し、現実社会という外の世界から、内なる安寧である自分の世界を破壊しに来る者達を、破壊者としての使徒(天使)に例えて表現しているように見えます。
実際には中学生男子といってもピンからキリまであり、英雄タイプから小人タイプまでさまざまです。
その中でも主人公シンジはとても褒められるタイプではありません。
{netabare}普通の中学生男子は、大怪我で入院している昏睡状態の友人の女子の目の前で、欲情して自慰行為に及ぶことはありません。{/netabare}
かなり病んでいると思います。

アニメーションは素晴らしいです。
声優さんの演技も素晴らしいです。
音楽も最高ですね。
内容的には、視聴者の多くが神秘主義思想の知識がないのを良いことに、無意味に神秘的な象徴を散りばめ、視聴者を迷わせ、実際の内容以上に、実は深い意味があるのではないかと期待させることに成功しています。
馬子にも衣装というやつです。

使徒の襲来はヨハネ黙示録の中で、終末に天使たちがこの世界を火で滅ぼし、選ばれた者だけが不死となり、新しい世界に住むことを許されるというところから来ているのではないでしょうか。
ロンギヌスの槍等味付けの基本をキリスト教視点に据え、グノーシス、死海写本、カバラ等の伝承をそれっぽく散りばめたような印象を受けます。

新世紀エヴァンゲリオンのOP【残酷な天使のテーゼ】の冒頭に登場するのは、カバラの基本、セフィロトの樹(生命の木)です。
なのでセフィロトの樹について少しだけ説明しておきます。

カバラとはユダヤ教神秘主義思想のことです。
カバラの経典で有名なのは、『セフェール・イェツィラー』と『セフェール・ハ・ゾハール』ですが、『セフェール・イェツィラー』はカバラ経典の内最古のもので、紀元120年頃の成立でラビ・アキバの著作とされます。
『セフェール・ハ・ゾハール』はラビ・アキバの弟子シメオン・ベン・ヨッカイの著作とされます。
でも『セフェール・ハ・ゾハール』を発見したのは1305年頃のモーセ・ド・レオンという人だそうです。

カバラにはアイン・ソフと呼ばれる原初の一点が登場します。
それはビッグバン宇宙論の最初の一点や、中国の陰陽五行説の太極と似ています。
アイン・ソフからは全ての世界が流出し、再びその場所(50の位階の最上層、または50番目の門)に至ることを究極の目的とします。
アイン・ソフから創造されて拡大された生命力は円(球)で表され、世界はそれぞれが十等分された四重の円(球の断面図)で表されます。
四重の円は内側から、アツィルト・ブリアー・イエツィラー・アッシャーと呼ばれ、外の円に移行するに従いエネルギーを劣化させて行き、一番外側のアッシャー世界まで来ると物質世界として顕現します。
アツィルト・ブリアー・イエツィラー・アッシャーと呼ばれる四重の世界は、それぞれ、ケテル・コクマー・ビナー・ケセド・ゲブラー・ティファレト・ネツァー・ホド・イエソド・マルクトという、個々がセフィラと呼ばれる十個の球を1セットづつ内に持つので、断面図にすると、40の円を持つバームクーヘンのようになります。
十個のセフィラは複数形ではセフィロトになるので、アツィルト・ブリアー・イエツィラー・アッシャーはそれぞれがセフィロトの樹(生命の木)と呼ばれます。
そして円を外部に辿る生命力として表されるエネルギーが、今度は逆行して円の中心に向かう時に、そのエネルギーが存在していた場所に空隙が生じます。
この空隙をアゾットと呼びます。
アゾットは原初的な風という意味です。
中心のアインソフは、『あらゆる古きものの内もっとも古きもの』と呼ばれ、閉じた眼がそれを象徴します。

投稿 : 2014/03/08
閲覧 : 198

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