こたろう さんの感想・評価

3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

バトルものなのにバトルに見所がないってツライ

メガネ者に悪いヤツはいない。
ノーライフ、ノーメガネ！ウィー・アー・メガネ部！
なーんて事は言いませんが、同時期に放送されていた残念なクソアニメの登場人物のようなフェチを患っている主人公。
そして、メガネっ娘のヒロイン。
出会いのときの開口一番の台詞が「メガネが大好きです」
・・・ってアンタねぇ(´･ω･`)

とまぁ、メガネ談義で始めてしまいましたが、本編は妖怪バトル＋ラブコメもの、ラノベ原作。
京都アニメーションが作る、美麗作画のファンタジー異能バトルです。


本作に限らずでが、京アニ作品のヒロインはホントに可愛い。
ビジュアル的に造形がカワイイのもあるのですが、仕草や表情、ちょとしたリアクションなどの細かい芸が行き届いているので、会話や日常シーンでの魅力が五割増になります。キャラデザの質の高さに頼っていない、動かして演出してこそナンボの可愛さ。
本作のメガネっ娘も、背が小さくドジで、つまんない意地を張ったりするかと思えば食い物で釣られていたり何だり、小動物的なあざとさがとても可愛らしい。
ヘンな口癖なんか持たせてキャラ立てするのはいかがなものかと思いますが、ベタなキャラ設定でも惹かれるものを感じてしまいます。
なんというか、ツボを心得た攻撃にまんまとしてやられている気分。
サブキャラも、ツンデレ妹におっとりさん、影のあるワケあり無愛想無娘にクール系のお姉さん、と死角なしの編成。
なんだかんだで、絵とキャラ萌えに関してはやはり高水準で満足のいく出来映えと評価できます。


一方、ストーリーや設定はというと、これは微妙。
定番的な要素はキチンとおさえてあり、ありがちとはいえソコソコに魅力的な世界観だし、それなりに1クールでまとまっています。
ミスリード的な伏線の仕掛けもしてあり、終盤での盛り上がりも悪くない。
でも、それだけ。
ストーリー自体は全く面白味のない中二な妖怪バトルもの。
そこにラブロマンス的な成分が組み込まれて成り立っているのですが、バトル、恋愛、どっちつかずで凄く半端感が否めません。

妖怪バトルとしてみると、主人公やヒロインの変化や成長の過程が全然みえず、支援役のサブキャラ達の扱い方も雑。チートな設定と能力頼みの戦闘は、作画が綺麗なだけで見事なくらいにドキドキもハラハラもない消化作業的な行為にしかなっていません。
特殊能力の何が特殊で凄いのかよくわからないドツキ合い、殺し合い。
一生懸命解説はしてるんだけど、尺が足りていないのかイマイチ楽しみ方の掴み所がはっきりしないバトルでした。
挫折やピンチ、修行と成長、戦術の創意工夫と見栄えのする必殺技。
バトルものを面白くする要素が本作には一切登場していないので無理からぬ事ではありますが、その点を期待してみてはいけない作品なんでしょうね。

では、ラブロマンスとしてはどうかというと、
序盤でのラブコメ的な展開は結構な見応えがあり期待は充分。ですが中盤以降でバトルに比重が移っていくと扱いがおざなりになってきます。あげく、最後の方でヒロインの脳内解説で愛情の深さを殆ど補完する始末。
ここは、２人の絆や想いを深める描写があってこそ活きてくる筈なんですが、序盤の方のラブコメ的な微妙な距離感の印象ばかりが強く、そこに行き着く過程のイベントがポッカリ抜けている感じです。
ヒロインの方はまだしも、主人公の方は結局いつから何がどーなのよ？ってものよくわからんです。
メガネ抜きで、好意のあるなしを表明していない優柔不断がイラッとする。
茶化してないで、ハッキリ愛を語ったらんかい、男の方から！
・・・とツッコミ入れたくなります(｀･ω･´)


面白くなかったわけではないですが、色々と何かが一味欠けていた。
そんな印象の作品でした。
京アニ作品は好きですが、京アニだからこそ器用貧乏になってやしないかと感じる次第。
面白いものを綺麗でより洗練させて面白く作るのは得意。
微妙なものをそれっぽくして面白いように錯覚させるのも得意。

残念ながら、本作は後者のような気がします。