ヒロトシ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
しっかりしろ、マリー。
大好きなP.A.WORKS作品とあって楽しみにしていたのですがいろいろ忙しさもあってようやく本放送に追いつきそうな感じで録画を消化。
第1話を見た時の感想は何これスゲー!!と思わず唸ってしまった。海の街という想像でしか補えない雰囲気を見事に作品に違和感無く合わせているのと、寂れた港町の再現率の高さに驚き。力の入れ具合が半端ないのが見ていて伝わってくる。
後は登場人物の会話時の演出。陸で話している時と海の中で話しているシーンがこの作品には存在するのだけれども、海中で話している時には人物の会話がやや反響して聞こえるようになっているのが芸が細かい。
ストーリーに関してだが、正直に言って序盤は光がやけにイライラしていててまなかに当り散らしているせいで癒される風景とは反比例して騒がしく感じられ、悪い意味で落ち着いて視聴出来るアニメではなかったのが痛かった。
光がつむぐを認め始めてからはそのイライラ傾向は納まったけども、今度はあかりの話でまた揉めるという展開がすぐさま物語に挿入されてしまった。
様は一難去ってまた一難というまるで「渡鬼」みたいに登場人物に降りかかる出来事が矢継早に来るので、物語を視聴者側が一呼吸置いてでないと追えなかった印象が非常に強い。
その上展開の変化が直線的なので飽きやすい。結局は揉め事なのである。その上間間で展開される主要人物の身内ゴタゴタが多すぎる。私は誰の事が好きだの、実は私も前から好きだったのってその要素をいちいちぶつけてくるので、本筋の話と交錯して見づらいったらなかった。
とはいえ2クール突入の展開を見るに登場人物の心象描写に時間を多く割きたかったのは理解出来る。が、多くの視聴者にとってこの先展開がどうなるかより現在進行形の展開がどうたかで今後の視聴継続が決まるのが当たり前の為、1クール目で視聴者を惹き付ける要素よりも制作の都合を優先させた結果のようになったのは果たしてどうなのだろうか。
ここまで文句を言うのは今後の伏線を張ったというよりも、後半に活かす為に各登場人物の人間関係を半ば強引で早送りに放送してしまった感が強いからである。一応説得力を出す為にぬくみ雪に端を発した異常気象をぶっこんではいるが、これも話としては突然のタイミングであった為、無理矢理感が否めないのである。まるで日本のテレビドラマにありがちな最終回付近でいきなりエセ恋愛ルートで強引に締めるみたいな如く。
その為、このアニメ1クールで判断して欲しくはない作品ではあるけども、切ってしまった視聴者の気持ちも無下には出来ない。自分も作品の雰囲気を特に楽しんでいる感じがあり、登場人物の巻き起こす早送りゴタゴタにはとりわけ関心が持てなかったのは事実。
しかしそのかいあってネットでも話題になる程に2クール目の入りは上々でしばらく続きが気になるアニメとしてストーリー上でも興味は惹かれた。
だが結局ピークは数話だったように思う。
{netabare}まなか復活後は着地点の見えない中だるみ感がやってきたのではないだろうか。復活早過ぎないか?ヒロインがいない方が面白かったって正直どうかと思うが、今思えばまなか復活の展開最終回くらいで良かったんじゃないのかなー。その方が綺麗に締まる様な気がしないでもない。 {/netabare}
脚本以外はかなり良い仕事をしている作品だけにマリーのお話の構成の杜撰さが評価を落としている気がする勿体無いアニメだなというのが自分の現在の総括的な感想。
以下作品から少し離れた話になるので興味ない人はトバシ推奨です。
{netabare}私が敬愛して止まない美術監督の東地和生さんですが、今回も素晴らしい仕事をしております。
美術監督がこの方なので、視聴前から背景の出来については特に不安を感じず。見事に期待に応えてくれました。もっともっと知られていい人なのですが、wikipediaにも未だにページが作成されていないので、美術はまだまだアニメではマイナーな存在なのでしょう。かくいう私もP.A.WORKSで初めてアニメの美術って凄いなと思ったにわかなのですが・・・。
東地さんがどれくらい美術にこだわりを持っているかについては書くと長くなってしまいますので、彼が手掛けた作品を設定資料集のインタビューから引用して独自に解説したのを過去にブログに書いたのを思い出したので、興味ある人はよければどうぞ。(TARI TARIの話ですが・・・)
http://d.hatena.ne.jp/rude0712/20121125/1353824822 {/netabare}