退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
冴えない中年男性の悲哀をコミカルに描いた稀有なアニメ
【宇宙船サジタリウス】が始まった頃は、【聖闘士星矢】の始まりと同じように、当時私が読んでいたアニメ雑誌(アニメージュ)では、まったく取り上げられていませんでした。
ページの片隅に新番組の小さな紹介記事が載っただけでした。
それが大きく取り上げられ、表紙にまでなるのは、アニメが放映されてかなり経った後でした。
宇宙船サジタリウスは、イタリアの絵本の登場人物からキャラクターデザインだけを持ってきたもので、当初は誰もその内容を予測出来ませんでした。
ほとんどの人は、日本で当時人気のなかったヨーロッパのアニメーションをイメージしていたからです。
しかし放映が始まってみると、良い意味で予想は裏切られます。
その内容はとても日本的なもので、便利屋を営む中年サラリーマンの悲哀を描いたものでした。
登場人物達は、とても人間には見えませんが人間です。
彼らは中小企業の冴えないサラリーマンで、宇宙で便利屋をしています。
{netabare}会社が倒産したり、生活のために工場で流れ作業をしたり、起業したりします。{/netabare}
宇宙船は会社の車のようなもので、便利屋の仕事の依頼が来ると、それに乗って他の星に行き、雑用をこなします。
彼らは予期せずにとんでもない事件に巻き込まれたりもしますが、皆普通のおじさんなので、慌て、
嘆き、後に残される妻や子供のことを思い、冒険することをためらったり、ときに卑劣な行動に出ます。
この家庭を持つ中年男性の葛藤こそが、この作品の魅力になっています。
これはスペースオペラを舞台に、冴えない中年男性の悲哀をコミカルに描いた稀有なアニメです。
私はこのアニメが大好きでした。
余談ですが、このアニメ以降日本でラザニアという料理がポピュラーになった気がします。
ラナさんがいつも美味しそうに食べていましたから。