退会済のユーザー さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.0
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
必ずしも偽物が本物に劣ることはない
【Fate/stay night】は、原作ゲームで3ルートに分岐する内の一番初め、セイバールートをアニメ化したものです。
アニメは原作の絵を並べて紙芝居を作ったような出来で、少しも空間を感じさせません。
とてもレベルが低く落胆します。
映像的にも見るべきものはないのですが、最悪なのは、主人公の衛宮士郎をオドオドした平凡以下の高校生として描いたことです。
全体的に声優さんのレベルは高いと思います。
特にアーチャーの、対バーサーカー戦での演技は素晴らしいです。
絵も動きのない止め絵としてならそれほど悪くありません。
例えて言うなら、副食の中に見るべきものがあっても、主食のご飯が最悪に不味いという感じでしょうか。
衛宮士郎はお人好しで、誰にでも平等に優しくします。
それは彼が正義の味方に憧れていたからです。
衛宮士郎の行動原理は、原作ゲームの遠坂凛ルートで描かれます。
{netabare}彼が幼い頃、大火災の中から、縁もゆかりもない自分を助けて育ててくれた、恩人衛宮キリツグに対する憧憬と、正義の味方に成ることを夢見続け、ついに叶わず死んでいったキリツグの夢を、勝手に引き継ぐと決めたところから来ています。
衛宮士郎にとって、衛宮キリツグはヒーローでした。
しかし【Fate/Zero】でも見られるように、衛宮キリツグの中での救うべき優先順位は、愛する者でも弱き者でもありません。
彼は多数を救うために、より少数である自分の愛する者や、弱き者を、見捨て、殺します。
結果、救えば救うほどキリツグは疲弊して行きます。
衛宮士郎もまた、そんなキリツグの背中を追います。
自覚しないままで。
キリツグの背中を追い続け、いつかヒーローを目指した理由も忘れ、ヒーローでありながら自分を嫌い、皮肉屋になり、ヒーローを目指した過去の自分を憎むようになります。
衛宮士郎の能力は、心象世界へのイメージの投影とその顕在化です。
あらゆる物の複製品を作り出すことが出来ます。
衛宮士郎は衛宮キリツグの複製品です。{/netabare}
しかし【偽物語】でも言及されるように、必ずしも偽物が本物に劣ることはありません。