退会済のユーザー さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
恐れを抱かせず、側にいるとどこか安心できる
子供の目には、大人は大人であるがゆえに優れたものに映ります。
しかしすぐに、それが幻想だと気が付きます。
多くの大人はただ、自分に都合よく生きているだけです。
ナルトは初め木の葉の里の大人たちから蔑まれますが、それでもなんとか自分を認めさせようと努力します。
しかし劣等生なので、中々上手くいきません。
孤独と絶望の中で、理解者が一人現れます。
それまでは彼に同情する者も、遠巻きに眺めていただけでした。
ナルトの理解者は砂時計の砂が落ち始めるように、少しずつですが増えていき、いつか山のようになります。
ナルトはそれらを全て救おうとします。
ナルトには素敵な里の仲間たちが居ます。
それぞれが背景にドラマを持ち、魅力的で、個性的です。
私はロック・リーとガイ先生との師弟愛が好きです。
誰かのため以外だと、いつも面倒くさがりのシカマルが好きです。
ナルトを慕い、弱い自分を捨て去ろうとするヒナタが好きです。
皆が幸せになれる世界を望み、その理想を捨てきれないジライヤが好きです。
主人公ナルトの魅力は、成長しても、強くなっても、悟っても、相変わらずバカなところです。
ナルトが子供の頃の素敵な大人たち、ジライヤ、カカシ、ガイ、三代目火影・・・
彼らの茶目っ気、恐れを抱かせず、側にいるとどこか安心できる雰囲気。
子供のナルトは初め彼らを甘く見ますが、ナルトが守られる側から、次の世代を守る側になったとき、ナルトもまた、それらの雰囲気を受け継ぎます。
ナルトの世界では、侍はほとんど活躍せず、世界の軍事バランスは忍者の各里の勢力によって変わります。
侍の技に多様性が見られないのに対し、忍者は忍術、体術、幻術を操ります。
忍者の基本はインド思想からチャクラという用語を借り、チャクラを気の流れのように捉え、チャクラの通り道を中国思想から経絡系という用語を借りて名づけています。
木の葉の里には中国拳法系の一族も住み、特にガイチームは中国拳法系でかためています。
ナルトの世界は日本の古伝承に囚われず、現代日本のラーメン文化や、中国の孫悟空、プロレス、ラップ等、雑多なもので構成されています。
九尾の妖狐は漫画ではよく使用されるモチーフですが、ナルトの九尾クラマの名は、【幽遊白書】の妖狐蔵馬と何か関係があるでしょうか。
あと【うしおととら】の白面の者も九尾の妖狐ですね。
九尾の狐はインドから中国に渡り、妲己(だっき)という傾城の美女になって紂(ちゅう)王に取り入り、殷王朝を滅ぼした後、日本に渡り玉藻の前になったという伝説があります。