takarock さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 2.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
1度目は2話で視聴断念。2度目は・・・
「お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ」(おにあい)で
2012年当時中学生にしてヒロイン役を務め一気に人気を博した
次世代のトップ声優候補である木戸衣吹さんが
本作では安藤夏希役として他の帰宅部のメンバー(4人)に
とにかくツッコミまくるという大役を担います。
他の帰宅部のメンバー4人の声優は素人レベルの駆け出しの新人という配置。
私が本作に抱いた第一印象は
「これは木戸衣吹さんのツッコミスキルを向上させる為のアニメである」です。
ベテラン声優だと気を遣ってしまうから気兼ねなくツッコミを入れられる
新人を配置したのか予算の都合なのかは知りませんが、
もうこの時点で嫌な予感がしました。
そしてその嫌な予感は的中。
ネタ自体は悪くないのに拙い演者(声優)のせいでまったくもっておもしろくない。
木戸衣吹さんに関してもまるで空気を読まずガツガツ前にでる若手芸人のように
必死過ぎるツッコミで正直観ていて痛々しかったです。
「おにあい」を観ていたので木戸衣吹さんのことは多少贔屓目で見ていたのですが、
自分が観たいのはおもしろいアニメであって、声優の成長過程ではないということで
2話で視聴断念しました。
しかし、その後あにこれで帰宅部布教活動をしている方のレビューに感化され
半信半疑ながらも再度視聴。
2話までは以前と同じ印象でしたが、4話くらいまで観てあることに気付きます。
あれ?これ、ひょっとして2話より3話、3話より4話と徐々におもしろくなってないか?
そしてその現象は緩やかな右肩上がりでピークの7話まで続いていきます。
ちなみに私は5話時点で全12話のこのアニメを完走するだろうと確信しました。
その原因は最初はたどたどしかった声優陣が小慣れてきたというのもあるのでしょうが、
本作はネタのレンジが広く、そのバランスも非常にいいのです。
例えば5話では合唱コンクールなどでもお馴染みのシューベルトの「魔王」からネタを展開したり、
「こころ」や「山月記」などの教科書に載っている文学作品からネタを展開していったりします。
そして、7話ではタブーカードしりとりなるオリジナルゲームを用いて
実に観応えのある話に仕上げています。
また、忘れた頃に以前のネタを引っ張ってくるなどなかなかに手が込んでいます。
ゴマちゃん(少年アシベ)もどきのアザラシも
スムーズに場面転換する役割として非常に機能していたと思います。
近年のパロディネタに頼りきったアニメが跋扈する風潮に少々辟易していたのですが、
様々なネタで勝負して、そしてそれを良質なネタに仕上げている本作は非常に好感が持てました。
(本作にもパロディネタはありますが、それに頼りきってはいません)
7話がピークだと前述しましたが、そこまで観てきた人ならばきっと最後まで完走するでしょう。
その後多少落ちようがその頃にはキャラや雰囲気、そして下手な声優の声にすら
かなりの愛着が湧いているはずですから。
おそらく本作を視聴断念した人のほとんどは私のように序盤でその判断を下したはずです。
しかしそれでは本作の魅力に触れることは到底叶わないでしょうとだけ言っておきたいと思います。
評価点以上に私はこの作品を高く評価しています。