おなべ さんの感想・評価
2.9
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
サイトーさんの髪型は気になるけど今後に期待しよう!
原作は士郎正宗、押井守監督の劇場版、神山健司監督のTV版作品が有名所ですね。
今作「ARISE」はProduction I.Gの最終兵器(らしい)黄瀬和哉監督が新しい「攻殻機動隊」を描いています。
お話としては、「公安9課がどのようにして設立したか」を趣旨に置いています。草薙素子と9課メンバーズの出会いを丁寧に描いているので、概ね満足出来ます。
また、SFサイバーパンクとしては中々凝ったミステリー作品に仕上がっています。最後は意外性のある謎解きの答え合わせでした。
今作「ARISE」は特別悪い所が突出したわけではありません。裏を返せばスタンダードで、印象深いシーンがなかったかなと。一応4部構成の始めなので、全体の批評はまだ出来ませんが、今作でちょっぴり気になった所を挙げていきます。
邦画に多用された双方背を向けながら会話する超格好付けたシーンはやめてもらいたかったです…。
戦闘シーンも多々あるものの、どうやって戦ってたか思い出せない。全体的にカメラが遠いです。前作とはあまり見比べないように努めていますが、劇場版であった戦車と少佐の戦闘の緊張感とは程遠いです。キャラデザ自体は左程気になりませんが、線が細めのため、軽い感じで肉弾戦がイマイチ迫力がありません。コーネリアスが担当している音楽も、ピコピコしてたことは覚えてるものの薄い印象です。
キャラクターに関しては公安9課設立前の若きメンバーの面々なので、全員若干青臭いです。あのクールな素子さんもこんな一面があったんだなあとしみじみしますね。声優さんの入れ替えは残念ではありますが、演技面として違和感は全くありませんでした(でもやっぱり田中敦子さんと大塚明夫さんのコンビが聞きたかったな!)。
{netabare} ただ、若さ故もありますが、素子もバトーも深慮が浅めで行動が行き過ぎています。世界大戦に生き残ったメンツというのはちょっと信じ難い(笑)。
気になったのは終盤でバトーが「俺に任せとけ」とかなんとか言う場面。早くも素子が気になっている様子でこのバトーさんもいずれか「素子おぉぉぉぉ」と叫ぶのだろうか期待です。{/netabare}
そして最も残念だったのは、名台詞とも言える台詞が殆どないことです。定番の「ネットは広大だわ…」を始め、TV版でも劇場版でもふとした場面に心に残るような感慨深い台詞の宝庫だったもんですが、「ARISE」は特にピンと来る台詞はなかった気がします。その代わりなのか、素子さんがやたら「ありがとう」と口にするのは違和感がありました。イノセンスではくどい位あった引用の台詞も聞きたかったです。
「攻殻機動隊」として捉えると、もう少し頑張ってほしかったですね。しかし前例のレベルとハードルの高さが並大抵ではない中で、よく一から製作してくれたなあと思います。四部作の中の出だしとしては良質に仕上がっています。まだ出て来ていない9課メンバーもいるので、今後の展開に期待したいです。