こたろう さんの感想・評価

4.2
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態：観終わった

空と地面は遠く、人と人は近く

田舎を舞台にした、ほっこり日常系。
小中学生全員が一つの教室で学ぶ義務教育機関、いわゆる分校に通う子供達を主役に、のんびり過ごしたり、遊んだり、学校行事をやってみたり。
とってもローカルでありながら、田舎であることを大袈裟に表現もしていないので、余計にリアルなカントリー色が漂います。
都会育ちの人でも、帰省や親戚の家に遊びにいったときに感じた、どこかノスタルジックで懐かしい雰囲気を背景にしたコメディ。
のんきで平和、それで笑える作品でした。


日常コメディとして、非常に楽しめました。
年代の離れた子供達が同じ場所（学校）にいて、それぞれに性格も違うけど仲良しでお互いがよく絡んでエピソードを作っています。
でも、事件なんて皆無。普通に過ごしている中で発生する小ネタから平和なコメディになるのが基本系で、それにキャラのトボケた特徴を絡めて笑いを取りにくる。
こんな内容。

既視感を感じつつも本作が気に入った理由を、あとになってよくよく考えてみれば、コレ、「みなみけ」とよく似ています。
ゆっくりとした間の取り方や、世代の別れたキャラの編成、あくまで子供達を中心にして、それを支える大人との距離感の取り方、ギャグ風に強調はしない、すっトボケたオチ。
本作を田舎の日常系とするなら、みなみけは都市部の日常系。舞台装置がちがうだけで雰囲気に類似点が多いことに気づきます。
こりゃあ、気に入るワケも納得(^_^)b

また、本作のいいところは田舎を乱用してないこと。
いや、田舎であることは厳然たる事実でそれじゃないと成り立たない作品なのは間違いないのですが、いわゆる普通の「田舎ネタ」を使っていない。
凡作であれば都会からの転校生ほたるを主人公にして、都会と地方のカルチャーギャップでエピソードを作りまくりそうなもんだけど、そこに走っていないのが素晴らしい。
そういう要素はあくまでスパイス的に部分部分で効かせてはありますが、決してそれに頼ったネタにはなっていません。
笑いをとるのは「田舎に住んでいるヘンなキャラクター」であり、発生するエピソードは分校や日常生活からそのキャラたちの取り得るおバカな行動からできている。
人物の会話とリアクションで作られているコメディなので、田舎であるという事はキッカケを拾うための道具にすぎません。
例えば、新幹線や飛行機に乗ったことがない！というネタをやるにしても、
「新幹線に乗った事を自慢したい」キャラをイジる笑いにしてあり、人物がオチを担当します。
こんな具合に、田舎は舞台背景。
これが浸透しているので、キャラへの好感度が非常に高く、笑いの幅がとても広くて楽しい。
トボケたキャラと地方のローカル色との相性もよくて、それだけで和みます。

作画やサウンドについても不満はなし。
萌えキャラになるのかものしれませんが、そのテの媚びた部分は薄く、普通に可愛らしいキャラクター達。
のどかな風景を基調にした背景もふんだんに見せてくれる工夫がされています。
自然の中特有の水や風の音、そしてそれを邪魔しないＢＧＭの入れ方も良かった。
終始、のんきでゆっくりとした時間が流れている空間。これこそが、本作の最大の武器であり特徴ですね。


何かと評判の良かった本作、日常系好きの方には太鼓判でオススメできます。
事件も色恋沙汰も成長物語もなーんにもありませんが、それが心地イイ。
原作ストックが貯まるのがまだ先になりそうなので、すぐというわけにはいかないでしょうが、２期の看板を掲げてまた帰ってくるのが楽しみな作品ですのん。