シェリー さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「愛で人を殺すのか?殺すことが愛なのか?なら愛とはなんだ!」
人に害を及ぼす悪霊を退治する退魔士のお話です。
衝撃の一話、裏切りの二話、三話から九話まで過去に戻ってその経緯を語り、十話から最終話までの三話をかけて物語を結びます。
一話の評判があまり良くないようですが、一話目が面白くなければ
そのアニメは観ない傾向にある僕にはつまらなく感じることはありませんでした。
悪霊である敵にお粗末なCGを使っていた点を除けば、あの展開とEDの入り方は大好きです。
両儀式なら「さながら魔笛だな。」とつぶやく展開です。
二話目もそのままのノリでガンガンに進んでいくストーリーもなかなか。
ラストで迷いなく刀を振るう今回の主要人物であるヨミの迫力は思わず後ずさりしてしまうような「圧」がありました。
ここまではまあまあ良かったのですが、この後からが個人的にはおそろしくつまらなかったです。
話の筋としては裏切った背景に何があったかを長々と語るもの。
ねらいとしてはそこを語ることで二話で見せた残酷な運命に観ている者の思いをじわじわと染み込ませようとしているのでしょうが
ここに出てくることが既視感の連続、さらに平坦で予想を超えないお話ばかりで飽き飽きしてしまいました。
でもなぜヨミが裏切ったのか気になったままだったので話の理解を損なわない程度に飛ばし飛ばしに最後まで観ました。
個人的には結末も結末でそっかあといった感じ。あんまり感動はなかったです。
それにしても黒い長髪をまとめ上げたポニーテールに、全身真っ黒なセーラー服姿のヨミはかっこいいです!
声もよく通っていて素晴らしかったと思います。この声が『らきすた』の日下部を演じた水原薫さんとは信じられません。
愛する者をその愛をもって殺せるか、否か。そしてそれは何をもたらすのか。
深くはないけれどその悲惨な運命は悲しいものです。
もしこの物語を温かく感じられたならばほんの少しそれが理解でき、この作品も楽しめたのではないでしょうか。
もちろん悲しいだけでも物語としては十分ですが。
{netabare}
ヨミの裏切りに彼女のなりのなにかがあってそれが行われたのかと思いきや、
ただ操られていただけとあっては僕としては物足りなさを感じてしまいます。
最初にあれだけ派手に見せておいてそんだけ?と思いました。
焦点はかぐらの行動、または悲しい運命ですかね。
個人的にはそのあたりでこの作品がいまいちだったかなと思います。深くないと言ったのはこのことです。
物語としての完成度は低くお話があまり面白く感じられなかった僕にとっては悲しさすらもあまり伝わってきませんでした。
逆にかぐらの行動や愛について考えるのであればそれはとても深いものになるでしょう。
僕がここで一番言いたいのは最後のかぐらのシーンはダメでしょ!ってことです。
なんであの白いのを使ったのでしょう?あの場面はかぐらが自分の手で血に塗れなくてはならなかったと思います。
ヨミを突き刺したあの刃物で自分の右手ないし左手によって殺戮を行うことが必要だと思ったのですが、どうでしょう?
まあ実際に錯乱した状態で反射的に白いのを出すのが不可能でもありますが。
しかもその戦闘中に後ろから2人が説明してしまうなんてもってのほかです。映像の役割を果たしていません。
ここが一番冷めました。なに語っちゃってんのさ?はははwってな感じに。
僕がこの場面で求めていた、というよりそうなるであろうと予想していたものは
ヨミを殺したかぐらがどんな想像の範疇を超えた事実を目の前に、
自責、憎悪、哀惜、愛情、喪失など様々な感情が混ざり、それが何十億という小さな蠅となり頭を掻き乱し、
自己をセーブするものが破壊され見境の無くなった彼女がテキを鬼神のごとく殺しに殺すヒトの姿でした。
そこには語られる言葉なんてありはしないのです。ただただ殺すものと殺されるものがいる。それだけなのです。
僕としてはそんなふうに描写して欲しかったのですが、まあ人によってはこれもまた既視感を感じるかもしれません。
でも実際観ていたときには茫然と呆れてしまいました。
ここまで読んで下さりありがとうございました。
分を超える甚だしく偉そうな意見で申し訳ありませんでした。
よしなに。
{/netabare}