プラ さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
理想と、現実と。
このアニメは全100話という長編もので、主に2つに分けられる。
前半は、「ヒビトが月面に着陸する」「ムッタが宇宙飛行士候補になる」までの物語。子どものころに二人で約束した夢に向かってまっしぐらに進む二人を描いた、明るい物語。大小さまざまなトラブルやアクシデントを乗り越えて、成長していく二人の姿にフォーカスしたポジティブなストーリー展開になっている。ヒビトは夢の月面でのミッションと「地球に帰還するという最大のミッション」を終え、大きな夢のひとつを叶えた。ムッタはヒビトよりも遅れて宇宙飛行士の夢の夢を追うことになったが、JAXAの宇宙飛行士を強い個性で切り抜け、候補生として合格し、夢へと近づいた。
後半は、「ムッタが月面を目指す」のに対して「ヒビトは宇宙飛行士としての地位を失う」展開となっている。ムッタはJAXAからNASAへと旅立ち、着実に訓練をこなしつつ個性を発揮しながら、月面ミッションの任務を異例の速さで獲得。一方、ヒビトは月面ミッション中のあと一歩で死ぬという紙一重の状況に陥った大きな事故を乗り越えたにもかかわらず、その時のショックでPTSDのようなものを患ってしまった。基本的にフィジカル・メンタルすべてにおいて良好な状態を求められる宇宙でのミッションにおいては、ヒビトのように「ケガ」してしまった人間は、どんなに優秀であろうが実績があろうがもう選ばれることはないのである。「樽いっぱいのワインに一滴の汚水をたらしてら、それはもう汚水である」というフレーズは、なんともいえない感情になった。
物語は、「ヒビトはNASAを辞めて別の形で宇宙を目指す」「ムッタは元教官の月面ミッションの控え・サポートをする」というところで終わる。
最後まで見飽きない良い長編アニメだった。非常に続きが気になる。