泉たける さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
原作の方が
実は原作のゲームは未プレイなのですが、これは憶測でしかないので正しくないかもしれないけど、敢えて言えばゲームの方が楽しめるプロットかと思います。
確かに結末とかは超展開ですし、ミステリの王道とは言えませんが、犯人当ての要素としては面白い仕立てになっています。
以下ネタバレを多く含みます。
この手のクローズドサークル物は昔から定番ですが、ミステリのプロットが仕立やすいのである程度の完成度まで持って行きやすいのです。またこの作品では、クローズドサークル物ではこれまた定番の典型的なトリックを使って見ている人間を上手く騙しています。
文章だと叙述トリックで騙しているようなものです。
このようにオーソドックスなミステリ要素を多く含んだ作品であり、超展開を除けばいい作品と言えるかもしれません。
Dえもん的なキャラとか意味不明ですし、エンディングもどこか曖昧。いくつかの謎が解明されないで終わるなど、稚拙な部分は残りますが。
しかし、ゲームとしてフーダニットの裁判パートを楽しむなら、そういう稚拙な部分は除いて楽しめる作品になっているんだと推測します。
また、作画で言えばおしおきの演出とか間接的でいい味だしています。もっとも、それ以外のパートは普通ですが…w
キャラは個性的ですから、クローズドサークル物にはもってこいです。クリスティの絶頂期のクローズドサークル物もキャラ濃かったし。というかクリスティに限らず、医者と軍人(今では政治家)と大金持ちと…的なお決まりパターンが、クローズドサークル物ではよく出てきます。そういう点でもキャラの仕立てがクローズドサークル物とマッチしていていいですね。
その点、音楽はイマイチなんですよね。なんかピンとこない。というか頭に残ってない…。印象に残らないのが残念。
総じて作品としては良いと思います。オススメです。
でも、ゲームの方がより楽しめるのではないか?というのが、自分の見解です。
追記
アニメ化されてるミステリ物を最近ざっと見ているのですが、クローズドサークル物とか、叙述トリックを用いた原作をアニメ化するのは難しいのでしょうね。演出の仕方とか困難だし。
アニメならではのミステリってどう描けるのかを考える人達が制作側にいると違うのでしょうが…。
その点では、氷菓とかは非常に上手い仕上がりにしていたし、ダンガンロンパも上手く仕上げていたと思います。
ただ、氷菓の方がミステリアニメとして評価が高くて、この作品が低いのは超展開と現実離れした世界観とか設定があるからだと。
この作品も抽象化して見てみるといい作品なのですが、おしいとしか言いようがない…
あとあの有名キャラっぽいキャラに、これまたその声優を当てるというのはやり過ぎ…。そこは一般的に引いちゃうゾーンですw
意図的な起用ならすごいのですがね。
NさんのDえもんって、主人公に奉仕してくれて良い方向へ導くキャラなわけです。そしてその知名度は抜群。みんなあのキャラ=いいキャラ、道具を出して助けてくれるというバイアスがかかっています。
それを逆手にとってアンチDえもん的に、悪くクマキャラを使ったとしたら、オデュッセイアに出てくるナウシカーと風の谷のナウシカのナウシカとの対比に似たコントラストを引き出しているとも言えなくもない。あくまで意図的に起用したなら。
そして、この作品で決定的に稚拙な点は動機が曖昧すぎるということです。各殺人事件の犯人も黒幕も、いやそもそも登場キャラの存在事態に曖昧さがある。アイデンティティが浅すぎる。
という意味で人間描写が全くもってできていないから、キャラが生きていないし、声優さんの演技もどこか虚しい感じになるのです。
キャラ設定は良く出来ていても、描写がお粗末なのです。
ただ、そういう稚拙な部分はアニメの設定ではよくあることですから、あまり目くじら立てなくてもいいかと思います。
犯人当てのフーダニット物で、犯人追求を主としたゲームのアニメ化作品と捉えれば非常にいい出来の作品です。
バイアスを外してみると楽しめるかもしれません。
ミステリ嫌いな人はオススメできないかも。
ミステリ好きな人でもバイアスかかりやすい人は、見ていてイライラすると思うので、別の作品を堪能してください。