zunzun さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
曲線とエロティシズム
鬼才、湯浅政明監督作品。当時WOWOWのみの放送だったので少しマイナーな作品かもしれません。
見た目の印象は手塚治虫へのオマージュが随所にみられる曲線を主とした柔らかい画作りで、色使いは暖かいです。
反面、ストーリーは記憶のデータ化により生じた問題で混沌とした宇宙を描くシリアスなサイエンス・ファンタジー。生理的に訴えてくる描写もかなりあるので、可愛い見た目だけで視聴した人は面食らうかもしれません。
ですが、手塚治虫の画風には可愛さの中に、そこはかとない強さとエロティシズムが同居しています。そこをもっと深く突っ込んだ作品がこの「カイバ」なのであれば、それはこの作品の狙いとしては極めて効果的と言えます。
内容は胸を締め付けられるような切ない話も多いです。
ピュアでプリミティブな感情に訴えてくる音楽やキャラを含めたデザインとノスタルジックな雰囲気。ビターで切ない大人のサイエンス・ファンタジー傑作と言えるでしょう。