HG anime さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
タチコマの可愛さがすべて
私が観たことのあるアニメの中ではヨルムンガンド、カウボーイ・ビバップ、デスノートなどに似ている雰囲気の作品。
この作品を視聴するにあたって、物語が難解だと思う人が大勢いると思われる。内容を逐一理解しながら視聴しないと、物語が進むにつれてついていけなくなるでしょうからお気を付けください。とはいえあまり気持ちを構え過ぎると余計つまらなくなると思うので、あくまで娯楽の範疇だと割り切って楽しみながら視聴したいところ。
中盤から薄々思っていたが、正直言って人にはお勧めできない作品だと思う。全26話を通して『笑い男事件』を主軸に短編の話がちりばめられているというスタイルの作品で、その個々の短編の面白さや登場人物と世界観の魅力はそれなりに評価できると思うが、肝心の『笑い男事件』が個人的には拍子抜けだった。あの事件は要するに“高度知的生命体としての理想の情報処理能力を追求するためというよりもむしろ利己的な利益のために国民総電脳化を意図し暗躍する権力者によるキャンペーンで『村井ワクチン』が認可されなかったことによる弊害に憤怒して若気の至りをこじらせた天才ハッカー少年が保守思想に染まり(これには彼の理想追求だけではなく自己防衛も含まれることが最終話で明かされていましたね。彼自身「僕は電脳化の権化みたいな人間だから少なからず電脳硬化症に対する恐怖みたいな物があったのかもしれない」と述べていましたから。)、社会と戦う過程で社会の醜さを知って意気消沈し隠居することとなったが、彼が起こした事案を利用して反社会組織が起こした企業テロの首謀者である大物政治家と公安九課のガチンコ対決で幕を閉じた”というものだったと思うが、個人的にはあまり気に入りませんでした。多々物申したいところがあったけれど、そもそも商品化されてから十数年しか経っておらず技術として信頼性が確立されてないであろう電脳化が瞬く間にホームレス以外のほぼ全国民に普及するというこの作品の根本的な設定がナゾ。ケータイ電話のような外部端末じゃあるまいし人間そんなにバカじゃない。現実とアニメを対比させるのは大袈裟にいうと文化の進展や多様性を損なう危険性があるから好きではないが、この作品は近未来の社会問題を扱っているので、SFだと割り切っていても、もうちょっとしっくりくるように出来なかったのかと思えてならない。
ただ、タチコマを巡る物語はとてもよかった。最終話で主人公素子が電脳世界と化した現実を生きる自分たちの未来への希望の一端をタチコマ達に見出すかのようなセリフがあるが、あれは面白かった。
まぁアニメで軍事ものが観たければヨルムンガンドを、近未来社会問題が好きならサイコパスのほうが面白いと思うな~。