OZ さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
甘酸っぱい恋愛
『時をかける少女』と言えば
原田知世主演の実写版が思い浮かぶが
観た事は無く
アニメ版は評判も良さそうなので
観てみる事にした
SF風青春恋愛物語
■素人っぽさは悪くない■
さっぱりした絵柄で癖が無い為
普段アニメを観ないけどジブリ作品は観る。
なんて人も取っ付き易い。
物語が核心部分に展開するまでは
ダラダラとしているけれど
日常の空気感は上手く表現され
中盤からのテンポは良いので
上映時間100分でも飽きが来なかったな。
観る前から気になっていたのは
ヒロインの真琴が仲里依紗など
アニメ声優を起用していない声優陣。
「ん?」と引っ掛かったのは
感情を露わにする場面のみで
思っていた程気にならなかったよ。
話題作りの為か
プロの声優を起用せず 芸能人を起用するのは
「なんだかなぁ」って好ましく無いが
今作品は良い意味で素人っぽさが悪くなかったね。
■能天気なヒロインとタイムリープのしわ寄せ■
真琴は考えるより先に
動いてしまう能天気娘で
後の事を考えずタイムリープを繰り返す。
彼女の代わりにクラスメイトの高瀬は
天ぷら事件を機に
いじめを受ける結果になるが
その状況を見ても自分の回りの事以外
真琴はやり直したりしていないので
高瀬にしてみればいい迷惑である。
真琴の叔母さんの台詞に
「真琴が良い目みてる分 悪い目を見てる人がいるんじゃないの?」と
言葉通り少なくとも高瀬はしわ寄せを被っている。
明るくて魅力的なキャラクターだけに
軽々しく未来を変えてしまった事を
悔やむ描写があれば良かったかな。
最後のタイムリープ後は
天ぷら事件が過ぎているので
どうなっていたのか分からないが
高瀬が元通りだといいね。
■甘酸っぱい恋愛■
恋愛物だけにキュンとする場面は多い。
自転車で二人乗りしていた時に
千昭から「俺と付き合えば?」と言われ
今の関係を壊したくない思いから
真琴は3度やり直すが
3度とも同じ結果になる。
どんなに話を逸らしても
千昭から結局告白される所が
何とも甘酸っぱい。
終盤別れ際の千昭と真琴が
交わした会話に全て詰まっていて
思わずキュンとしたね。
別れた後 泣きじゃくり帰ろうとする真琴に
引き返してきた千昭は
千昭「未来で待ってる」
真琴「うん すぐ行く 走っていく」
未来とは何時の事なのか
もしかしたら二度と会えないのかもしれないが
嬉しそうな真琴の顔が印象に残り
作中で最も気に入っている場面だ。
■あとがき■
爽やかな後味で
起承転結はしっかり組まれていたが
ちょっと物足りなかったかな。
タイムリープが今作品の見所なのだけれど
矛盾する点も多いので
そのまま恋愛ドラマ仕立てなら
もっと入り込めたのかもしれない。
音楽面はバッハの「ゴールドベルク変奏曲」を流したりと
クラシックの使い所は面白かったなぁ。
作中で出てきた「Time wait for no one」
人それぞれ解釈の仕方が違うので
明確な答えは無いが
訳すと時は待ってくれない。
過ぎ去った事をやり直したりは出来ないからこそ
自分で選んだ現在なら悔いなく過ごそう
そんな風に感じたね。
青春学園物では観易いので誰にでもおススメ出来る佳作アニメ
満足度 ★★★★★☆☆☆☆☆ (5)