HG anime さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これが社会の裏か・・・
主人公未麻をめぐる殺人事件の物語。未麻は物語序盤はアイドルをしていて、中盤から女優に転身し、年齢や心境に応じた立場を模索する。女優に転身した後、名を上げるために内心は拒絶しているレイプシーンをすることとなる。そのレイプシーンは正直ゾッとした。あのシーンはドラマの撮影のワンシーンで本当にレイプされるわけではないとされていたが、未麻にとっては本当にレイプされたかのような喪失感があっただろうし、すごく現実味がある話なので私は男として気が滅入ってしまった。作画と声優さんの演技には感服です・・・
その後のペットであるテトラが死んでしまうシーンで慟哭した未麻の心中では、テトラの死からアイドルとしての自分の死を連想していたと思う。
未麻の周りに被害者が出始め、脚本家の渋谷が殺された時点では、左目を前髪で隠しているストーカーが犯人なのかなと思っていた。
宅配ピザを届けに来た未麻がカメラマンの村野を刺殺するシーンまで観た時点では、未麻が多重人格のサイコパスで、それまでの被害者を殺した張本人だろうと思った。
しかし終盤に予想外の展開が待っていた。
未麻のマネージャーのルミが一連の事件の真犯人だった。ルミはマネージャーであると同時に、あのストーカーにも勝るようなド変態で熱狂的な未麻の信者だったのだ。未麻のアイドル時代のようなコスプレから贅肉をはみ出させながらアイスピックを振るう様は凶器の権現。背筋が凍るような展開に圧倒されてしまった。
未麻はルミの襲撃を切り抜けて九死に一生を得る。ルミは精神病院のようなところに収容されていて、未麻が見舞いに来ているというのが最後のシーン。ルミは時折ルミに戻るが、普段はいまだにアイドル未麻のままだという。未麻は「彼女がいたから今の私がいる」と言い、過去の出来事を未来を生きる強さのための昇華材にして強くなった女優未麻が描かれていて、レイプシーンから沈んでいた私の心も少しほくほくした。
何度も観たくない作品だけど、観て良かったと思える作品だった。