めいろ* さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
斜め七十七度の並びで泣く泣く嘶く七藩七代難なく並べて長眺め。
だったと思います。たぶん。
本作品、西尾維新さん原作のジャンルアンノウンです。
僕的には、クビキリサイクルのイメージが元々強かった西尾維新さんですが、果たしてこの作品を読んで、見た後の僕は同じことが勿論言えませんでした。
”言葉遊び”というものの定義を僕はいまいち理解していませんが、本作品の独特な進行にある掛け合いが”言葉遊び”という呼称であるとするならば、僕はそれを汎用的なものでなく、西尾維新さんそのものの個性であると進言したいところです。
本作品を見ていて、気持ち悪いと感じた方はいなかったでしょうか。
少なくとも、シャフトの制作も相まったのか、ほぼ終始気持ちの悪い感覚が僕に纏わりついていたように思います。
それが例えば、テンポだったとするならば、
ドレミの音階の中で、ミとファが抜けたような。
それが例えば、表現だったとするならば、
真っ暗闇の中で読書をするような。
いまいち、表現が苦手な僕にはこの気持ち悪さを伝えられないでいることを非常にもどかしく思うわけですが、共感する方はいるでしょうか。
本作品は、作り方も斬新ですが、そもそもストーリーが過去に類を見ません。
それがどういう事かと言うと、起承転結というスタンダードな構成を見出すことが出来ないと感じました。
起こって、結ぶ間に、承って転ぶという手順を踏んでいるような作品ではなかったんじゃないでしょうか。
常に問題がふわふわと宙に浮いていて、誰もそれに手を伸ばす事ができないと思えば、ふとした時に手が届く。みたいな。
彼は言います、「元気が良いね、何か良い事でもあったのかい?」
この言葉すら、発言そのものが突拍子も無く、宙にふわふわと浮いていませんか?
だって、元気が良いようにも見えずに、良い事があったかも想像つかないどんなシチュエーションでも、決まって彼はそう言います。
そう言う事が、あたかも挨拶であるかのように、意思があるのかないのか、曖昧なその言葉が独り歩きして、なんでそんなものが作品に浸透して、馴染んでいくっていうのは、普通に異常だと感じました。
常にその存在すら曖昧である表現や物質が作中に蔓延する回りくどい世界で、主人公はどんな人間かと言えば、
「この世には、いい人間がいる。
たったそれだけのことで、救われた気分になる。」
至極簡潔的。
もう、何か不明の神秘の中にカレーを入れたような、表現の追いつかない次元の中にこの作品はあると感じました。
実質、本作品は本当に感覚として気持ちが悪いにも関わらず、その本質から目を離すことが出来ない中毒性があります。
そんな形成手法の見当もつかない作風を生み出した本作品を、僕は少なからず、傑作だと思っているんだぜ。