はとぽん さんの感想・評価

3.2
物語 : 2.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：観終わった

動くイラスト集

絶賛している方と酷評している方の二人にとりあえず見てみると良いと言われたので見てみました。

割と辛辣なこと言ったりしてますのでご注意を。

{netabare}
新海監督は言葉を少なく風景で伝えるという手法が多い気がしますね。

まず映像ですが、手描きのアニメ作品でここまでの表現は手放しで素晴らしいといえます。
映像だけでも見る価値は十分にあります。

この作品、時代背景は現代であるのにも関わらず、全体的に古臭い。
恐らく新海監督の好みの問題なのかと思いますが、
自身の映像作品に現代的なものを入れたくないのか。
これならばいっそ時代背景を昔にした方が良いのではないか。

そして問題なのはリアリティ。
風景を極限までリアルさを追求した結果、
まるでそこにいるかのように錯覚させる作品になっています。

そのリアリティを追求しているにも関わらずキャラクターには美しさを追及しているためか、
キャラクターの性格にも、そして雨を題材にしているのに、足は濡れず靴も新品かのようになっています。
まるでリアルな風景の中にキャラクターというガラス細工を置いたようです。

そして声優さんに有名なアニメ声優さんを起用した点。
うまいんです。うますぎるんです。
だからこそリアリティが薄いというのも大きく関係しているかもしれません。

宮崎駿監督がアニメ声優さんを起用しないのはこのあたりが関係していそうです。
（ただ宮崎駿監督はもっとファンタジーな感じなので逆にアニメ声優さん使った方が良さそうですが）


そしてメリハリを付けるためか、主人公の先生に対する本気さを表現するためか、
いきなり女性をひっぱたくという突然の乱暴。ちょっと引きました。

最後に突然の暴言。
これは恐らくフラれた事により『先生に忘れてもらうために嫌いという』というところから、『感情が溢れて本音を吐露する』という流れを表現しているのかなと想像しているのですが、
いかんせん殴り合いのところから急展開すぎてびっくりしちゃいまして。

演出も全体的に風景を見せたいという思いが見え隠れし、
「キャラクターを魅せる」ということを放棄しているのではないかとすら思えます。
斬新な演出だなと感心した部分もありましたが…。

メッセージ性を内包した作品であるにも関わらず、それを表現する描写が圧倒的に不足しているなと感じました。

新海監督、長編作品は作れるのかな。

風景は奇麗でしたが、思ったことはタイトル通り「動くイラスト集」です。
{/netabare}