にゃんた さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
うおおおおぉぉー!いけえぇぇぇえええー!
「俺の友情が~俺の想いが~俺の愛が~正義が~うおおおおぉぉー!」
と叫ぶことで一発逆転、物語が都合良く(も悪くも)動く。
しかし冷静にみれば「友情も愛も正義も、あくまで『君の』でしょ?」
と突っ込めるので、説得力という名の厚みは足りない。
一応、登場人物達の精神面の傷や葛藤をテーマにしているようだが、
主観的に物事を考える若年期特有の思考に乗っかった、自分本位の幼稚な構成だ。
ただ、決してこれが悪いとか嫌いという訳ではない。
主観的なストーリーであればあるほど、主人公にどっぷり感情移入して楽しめるからだ。
主人公の「俺の想い」=視聴している「俺の想い」
という関係にしてしまえば、説得力云々はどうでも良くなる。
都合よくて気持ちイイじゃない。
そうすると、主人公にどこまで感情移入できるかどうかがポイントになると思う。
これができるならば、作画・演出面で優れた本作品を熱く楽しめるはず。
そこで、主人公の(外面は置いといて)内面へのアプローチについて考えてみると・・・
本作の主人公は、他者への劣等感と自己嫌悪からウジウジしている。
ところが、ここぞ!というところでは冷静、良い奴、できる奴になる。
これは、「本当はキミはできる奴。だから頑張ろう」という、
自分の良さを再発見し、自信を持たせ前へ進ませるアプローチ。
欠点についても、一瞬で自覚&改善できてしまう。
他方、同じくウジウジ設定の主人公として思い浮かんだのは、
『十二国記』の陽子。
こちらは、「キミの悪い所はここ。これからの努力でいくらでも変われるよ」という、
自分の悪さを認識させて、ジックリと前へ進ませるアプローチ。
欠点に気づくまで時間もかかるし、改めて進むことにも時間がかかる。
どちらのアプローチも間違っていない。
この点、今の私にとっては後者の方が困難で、その達成に充実感を得られる。
いい歳した大人達ができていないのが、後者のアプローチによる自己批判だからだ。
というわけで、個人的にはさほど感情移入できなかった。
ただ、結局最後まで断念せずに視聴できた。
本作品には、こちらの心に十分響く熱い演出があったからだと思う。