「マクロスFRONTIER[フロンティア](TVアニメ動画)」

総合得点
88.8
感想・評価
3912
棚に入れた
18353
ランキング
99
★★★★★ 4.1 (3912)
物語
3.9
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.6
キャラ
4.0

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ネタバレ

とすかねり さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

みんな抱きしめて、レビューの果てまで!!!

*ストーリー
 基本ストーリーは、マクロスシリーズの基礎である、「歌」「可変戦闘機」「三角関係」を主軸に進む。一方でオリジナリティが加えられ、やはり異質なマクロスを展開している。
 前述の通り、マクロスの3大要素は「歌」「可変戦闘機」「三角関係」であるが、個人的に、「未知との邂逅と共生」も重要なものだと考えていて、その点本作はその点を他のシリーズ作品とは違った切り口で見せている所がとても好感が持てる。
{netabare}
 マクロスシリーズは、これまで、宇宙での「未知との邂逅」と意思の疎通がうまくいかないことを原因とする対立を、「歌」「文化」で昇華していこうとすることを本旨とする。(例えば本作の河森正治監督は、「戦争という異文化の交流によるカルチャーショックや、それにより変遷していく文化を扱うものとして、武力で決着しない作品をつくれないかと考えたのが最初のマクロス」としている。)
 しかし本作の“人類の敵”であるところのバジュラは、作中で分かるが、高度の知的生命体とは言えない。その点に於いて、「文化」という高度に知的な営みであるものを、非知的生命体を相手に訴求していくことが可能なのか?という課題に、本作は設定上ぶつかるはずであった。そこを、バジュラ由来のV型感染症という設定で、体内での「共生」を実現できている所に、初めて見た時には感激した。更に、人類とバジュラとの意思疎通の困難を同じ仕組みで解消し、実際上も「共生」を実現していく所に、マクロスの源流と新しい在り方を見たように思う。
 
ところで、これは完全に私見で、全くもって何の根拠も無いので、一つの鑑賞の切り口として聞き流して頂ければ幸いであるが、本作を、スタジオジブリの『風の谷のナウシカ』との対比でみると面白い。即ち、「王蟲に代表する蟲たち=バジュラ」、「ナウシカ=ランカ(シェリル)」、「王蟲を利用したペジテ人たち=グレイス(マクロス・ギャラクシー船団)」という構図で見ると、通じるものがあるように思うのだ。もちろん、V型感染症やインプラント・ネットワークなど、全く違うものも多いが、ナウシカのキャッチフレーズを「少女の愛が奇跡を呼んだ」とするのなら、本作は、「少女たちの歌が奇跡を呼んだ」としても良いように思う。
蛇足の上に蛇足を重ねるが、ナウシカと、マクロスシリーズ最初の劇場版、『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』が同じ1984年の公開だったことも、全く関係は無いが、面白い。
{/netabare}

☆5

*作画
 やはり、歴代のマクロスの中では一番の作画であろう。特に戦闘シーンの滑らかな動きは、流石の一言に尽きる。本作ではブルーレイも発売されているが、デジタル高画質に耐えるだけの作画があったことはここからも推測出来よう。
 ☆5

*声優
 声優陣は現在の中堅からベテランの域にある名優たちで、作品の中の人間模様や心情吐露を巧く表現できていることは請負である。
 また、ランカ役の中島愛さんは、まさしくランカと同様に本作の公募オーディションから、彗星のごとく現れ、スターダムを駈けのぼった方で、リアル・超時空シンデレラだと言える。
 惜しむらくはやはり、彼女のオーディションから放送までのスパンの関係で、且つ、他のキャストが実力派でありすぎたがゆえに、若干のレベル差を、作中に感じてしまう場面があることである。しかしそれも、ランカというキャラ性からは大きな違和感が生じる類のものではないことは断っておきたい。
☆4

*音楽
 マクロスシリーズの3大要素の1つが「歌」である。シェリルの歌パートのMay'nさんは元よりプロの歌手であるし、ランカ役の中島愛さんの初々しさは胸を打つものがある。実際、劇中歌・主題歌がオリコンチャートに飛び込んで、世のパンピーを凍らせた程の名曲たちであった。
 個人的には「アナタノオト」が一番好きです(笑)
☆5

*キャラ
 本作には、「三角関係」は元より、様々な人間関係が渦巻く。もちろん、「恋」の様なものは一見美しくもあるが、「嫉妬」や「悲恋」になっていくものも少なくない。
 登場するキャラたちは、お互いの関係性を変化させながら、不安定な内面を見せてくれる。本作の大きな成功には、間違いなくキャラの充実が大きな役割を占めていたのだと、断言できる仕上がりである。
☆5

*総括
日本のロボットアニメの歴史は、1960年代の手塚治虫『鉄腕アトム』に始まることは議論を待たない。マクロスに通じる大型ロボットアニメも『鉄人28号』が最初であろうから、やはり1960年代から始まっている。即ち、ロボットアニメの歴史はほとんどアニメ史と共に歩んできたと言っても過言ではない。その中にあってマクロスシリーズは、1982年『超時空要塞マクロス』以来30年以上(本作は25周年記念作品)、この分野の重要な役割を担ってきた。
90年代の『マクロス7』以来のTV放映版マクロスとなった本作は、前述の通り、マクロスシリーズの源流と新しい在り方を感じる作品となったように思う。
特に近年、男児向けとされていたロボットアニメの市場が、大きく拡大している。恋愛要素や複雑な世界観などを取り入れ、女性や大人向けの作風へと変化してきている。その中にあってマクロスは早くからこうした要素を含んだ作品としてこの分野の最前線を走っており、そうした意味では、今後とも新作を期待する所大である。

投稿 : 2014/02/09
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