OZ さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
バッドでもハッピーでも無くベスト
以前から気にはなっていたが
おススメされたのもあり観てみたら
お気に入り作品となったものの
胸を締めつける様な学園恋愛ドラマ
■眞一郎と3人のヒロイン■
恋愛物としてシンプルな展開と
次回への引きが巧く
続きを観たくなる構成は絶妙。
登場人物の心情が分かり易い為
もっと複雑でも良かったかなぁ。と観ていたが
キャラクターの魅力が上回り
3話辺りですっかり引き込まれたね。
●安藤愛子
いじらしい可愛さを持つ彼女は
早々に眞一郎争奪戦から脱落してしまい
終盤では存在感が薄くなってしまうので
眞一郎との恋愛絡みは蛇足だったかなぁ。
サイドストーリーとして
三代吉との恋愛に絞ってもらえたなら
存在感が薄くならずにいたのかもしれないので
キャラクターデザインが可愛かっただけに惜しい。
にしても今川焼きが食べたくなるね。
●湯浅比呂美
なりふり構わず眞一郎の気を引こうとする姿は
人によっては感じが悪く
悪女の様に映るかもしれないが
最終的に乃絵と自分のどちらを選ぶのか
答えを眞一郎に選ばせようとする
スポーツマンらしいフェアな一面を持つので
ヒロインとして充分に出来た女性である。
●石動乃絵
奇行や今で言う中二病の様な発言が目立つが
悪気は無く 素直な純粋さが周りを動かす。
「あなたの飛ぶ所はここじゃない」と
振り向いてもらいたいとは決して口にせず
眞一郎から身を引く決意をする。
彼女にあと少しの強引さやズル賢さがあったなら
結末は変わっていたのかもしれないが
しないからこそ魅力的なんだよね。
第11話では
「眞一郎の心の底に 湯浅比呂美」と
自身を納得させるかの様に口ずさむ場面や
最終話で雪解けと共に崩れた
「のえがすきだ」の石文字に
目を向ける彼女の姿は胸が苦しかったな。
比呂美とは対照的だが
彼女もまたヒロインとして文句ない
魅力を持つ女の子だったね。
●仲上眞一郎
ほぼ無条件でヒロイン達に好かれているので
乃絵が恋愛感情を抱く過程は伝わってくるが
愛子 比呂美に関しては過去のエピソードを
もってしても恋愛感情を抱くには弱いかな。
最終話 バス停で乃絵と別れる際に
「眞一郎の心の底にも 湯浅比呂美!」と
涙を流しながら見送る眞一郎に手を振り返す乃絵。
二人の気持ちを思うと
作中で最も印象に残る場面であり
涙が自然に溢れてきたよ。
彼の行動は賛否両論あるけれど
「全部ちゃんとするから」と言った通り
自らの気持ちに向き合う誠実な男に映ったね。
■バッドでもハッピーでも無くベスト■
作品の評価が分かれるであろう終わり方。
中でも乃絵に感情移入していた人にとっては
哀しい形で幕を閉じた。
眞一郎が出した答えは比呂美だったけれど
1話から一貫して比呂美への想いはブレた事が無く
1人でいる時は彼女の事を考えている場面が多い。
反対に比呂美は眞一郎を想い続け
障害である血の繋がりが無くなったので
本来 相思相愛の二人にとって
遅かれ早かれ時間の問題だった。
答えは単純で
比呂美は恋愛感情として好きだが
乃絵は大切な人として好きだったの違い。
最初から眞一郎の心の底に湯浅比呂美がいた。
ただ それだけなのだ。
もし 眞一郎と乃絵が別れずに
笑顔のまま結末を迎えたなら
それはそれで観たいが
彼女は成長する事無く
真実の涙を流す事はなかっただろう。
表向きは「涙」がテーマになっているが
あげてしまった涙を
取り戻す過程を描いているので
本質のテーマは「乃絵の成長」
望んでいた結末では無かったけれど
バッドエンドで無ければ
ハッピーエンドでも無く
これ以上に無いベストエンディングだ。
■ドラマCDで完結する■
アニメ本編が好きな人
中でも乃絵に感情移入していた人には
物語を完全に完結させる意味で
手に取ってもらいたいのが
「TVアニメ true tears ドラマCD」
3ヒロインの後日談を収録した内容だ。
●1つ目「比呂美の場合」
タイトル通り比呂美の後日談。
眞一郎とはうまくやっており
すっかり彼の母とも打ち解けた様子だが
比呂美は眞一郎の中にいる乃絵を
乗り越えようと
彼女も少しづつ成長している事が描かれる。
●二つ目「雪解けの時」
愛子と三代吉の後日談。
友達の関係からやり直した二人だが
愛子には三代吉に隠している事ある。
眞一郎を好きだったという事では無くキスをした事。
愛子はキスをした事を伝え
ショックを受けた三代吉だが
キスを取り戻す為 眞一郎の所に乗り込む。
事の顛末を聞いた愛子は三代吉を探し
何が大事だったかに気付く。
眞一郎に振られた事よりも
三代吉と別れた方が辛かったと。
二人が付き合い始めた神社で愛子は
「1度だけ言うからちゃんと聞きな。
私 三代吉が大好きだよ。」
今度は三代吉からではなく愛子からの告白。
遠回りしてきた二人だけれど
晴れて心から付き合う事となった二人が描かれる。
●三つ目「いつか飛ぶ空」
眞一郎との別れから最終話ED前の乃絵の話。
唯一後日談では無く
桜子と日登美と言う名前の
最終話でちょこっと登場した
乃絵の新しい友達が出来る過程が描かれる。
乃絵の兄 純が上京する裏側も描かれ
アニメでは後ろ向きに
家を出て行った様に受け取れるが
実は乃絵の一言によって
前向きに送り出されていた事が分かる。
傷つきながらも一歩一歩前に進み
成長していく乃絵が描かれているので
彼女のエピソードを聴いてから
最終話EDを観ると
ラストに流した涙の見方が変わってきたよ。
最終話の結末を補完してくれ
大人になっていく彼女達の姿が分かる嬉しい一品。
■あとがき■
全13話の1クール物では
しっかり纏まっていたが
乃絵に感情移入していたので
胸を締めつける様な作品と同時に
お気に入りの作品にもなった。
OP「リフレクティア」と
ED「セカイノナミダ」共に良曲だが
耳に残るのは「アブラムシの唄」だね。
聴くと切なくなるが忘れられない一曲。
放送されてから6年経った現在
「true tears 5周年記念CD-BOX」なる
OPからED サントラ ドラマCD イメージソングなど
ラジオCD以外発売された計7枚が詰まった
5枚組のCDがあるので
作品が気に入った人におススメしたい。
ドラマCDはOVAにして欲しかったなって
思えるくらい完成度が高いね。
雪が印象的な作品で
観終わった後に
ちょうど雪が降ってたので
尚更記憶に残ったな。
恋愛物では名作アニメ。
満足度 ★★★★★★★★★☆ (9)