rurube さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
最後まで見たかった。
この作品を語るには先に葉隠れを読むべきである。
葉隠れとは江戸中期に書かれた武士道の精神を書にしたものだ。三島由紀夫等に影響を与えたといわれる作品でタイトルのシグルイもこの作品の一遍から採られている。
葉隠れとは一言で言えば戦争が無い時代の武士の生き方を記した書である。当時の武士は今で言う窓際族であり穀潰しに近い存在で時代に必要とされない存在と言って良い。葉隠れは言う、人はいつか死ぬと。しかもつまらない死であり今の時代に名誉の死など無い。では今日においてつまらない死をどう受け止めれば良いのか?
死の昇華とはどう生きたかである。生によって死が昇華されるのだ。
シグルイは葉隠れにおける死の昇華を可能な限り表現したように思える。藤木・伊良子に怨みはなく彼らは互いに武士としての生き方を実践したに過ぎないのだ。
武士としての生き方とは勤めでしかない。勤めとはおそらく奉公ではない。なぜなら上記にも記した通りこの時代に奉公は不可能だからである。
武士には意志などなく行為しか無かった。
藤木は伊良子を殺すのは復讐ではなくあくまで行為である。藤木は伊良子に対して怨みは無い。
しかし藤木が武士ならば自分の師を殺された事実に対しての勤めは残された。
この作品の残念な事は最後までアニメ化されていない事であろう。