sekimayori さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人とアンドロイドの、「イヴ」の時間 【83点】
未来、アンドロイド黎明期の日本。
珈琲店を舞台に繰り広げられる、人とアンドロイドの境界にまつわるオムニバス。
■紹介とか
作中の珈琲店と同様に、とても雰囲気のいい作品です。
やたら大きい効果音や、対象ではなくカメラ視点が動く画面構成、頻繁に途中で遮られる会話など、違和感を覚える要素が多いはずなんだけど、非常に居心地良く感じる。
路地裏の地下の喫茶店、という微妙な非日常感とすごくマッチしてるからでしょうか。
1話1話のテンポの良さ、その中で緩急織り交ぜしっかりオチもつくドラマの構成も、手軽に観られるのに大きな満足感を残してくれます。
キャラクターが魅力的なのもポイント。
みな一様に秘密を持ち、でも精一杯素直に「生きて」います。
女性陣めっちゃかわいいしね。
サミーとナギさん、甲乙つけがたい……。
雨の日の午後みたいな少し力の抜けた時間に、ちょっとこだわったコーヒー片手にどうぞ。
きっと、カフェインと続編を渇望するようになりますよ。
{netabare}ラストのナギさんの手の伏線、倫理委員会よりずっと気になる! {/netabare}
■人とアンドロイドの「イヴ」
本作の主題となる「人とロボットの差異」は、SF者以外にとっても手あかのついたテーマ。
なぜそれを、イヴなんて「始まり」を意識させるタイトルで描いたのか。
SF的には、本作の「未来への想像力」はどこにあるのか。
{netabare}
将来、ほんとにアンドロイドが実用化されたとして。
我々はどんなメンタリティで、「彼ら」を扱うのでしょうか。
例えば、攻殻SACシリーズみたいなインターフェースの終局系としての運用や、現在産業ロボットが担うような過酷な単純労働への割り当ては、当然行われるはずです。
でも、もっと一般の、日々の生活社会の中では?
日本人なら案外、というか、きっと、アンドロイドを「機械」ではなく、「人」の延長線上に見てしまうのではないか、と思ったりします。
アトムを(日本初の連続アニメとして)受容し、老若男女がAIBOを(サポート切れた今でも)ペットとして可愛がり、CM中でPepperくんが「家族になるため」に家庭にやってくる国。
唯一神の人間創造という思想的縛りが無く、逆に八百万の神・アミニズム・付喪神とか、無生物に魂を見出す風土のある文化。
そして何より、生命科学や情報工学の進歩により、生命の定義自体が再考されている時代。
そうした土壌の上では、アンドロイドに、家族関係や恋愛や、つまり人間関係構築の対象として接する余地があるのではないか。
別に、アニメやSFに毒されていなくてもね。
だから、二者の境界が真に曖昧なことを知った時(作中では「イヴの時間」で)、アンドロイドと人間の間に「ヒューマン」ドラマが成立する、というのは、現代日本人の肌に合う未来幻想なのではないかと思います。
そもそも、科学技術が大発展してアンドロイドに当然ゴースト(≒魂)がある、というのは(たぶんSF的にも)数段飛ばしの大前提なのですが(笑)
そのロボットへの魂の帰属や、差異の曖昧さを、現代的・日本的意識という基盤の上にサラッと超えて。
描かれるのは(ブレードランナーみたいな闘争の中ではなく)日常生活空間で営まれる、人間活動の対象として成立するアンドロイドとの関係性。
一周回ったような、古くて新しい意識の始まりのような、そんな感覚を覚えます。
なんだ、しっかり「イヴ」の時間を描いてんじゃん。
ということで、本作の「未来への想像力」は、ある意味現実の延長線上にある力強いものだ、と言えるのかも。
あくまで現代日本しか知らない若造の見方なので、4chanの外人さんたちとかにご意見伺ってみたいなぁ。
以上、ドリ系がお送りしました。{/netabare}
【個人的指標】 83点