セレナーデ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
小野田逃道になって欲しくなかった
「アニソン歌いながらペダル漕いでたら体調不良が治った」
「少年誌原作+レースもの」ってことで『モンキーターン』や『カペタ』のような面白さを楽しみにして観てた。そしたらこんな緊張感のないこと言い出すんで盛大にずっこけてしまった。
結構期待してた分不満だらけなんだけど、回想やトークの多さとか列挙法一辺倒なモノローグとかはこの際大目に見ます。
とにかく『精神論に頼りすぎ』。これに尽きる。不満を覚えたプロットの九割はこれにカテゴライズされる。
引きはそこそこいい。主人公やメンバーが窮地に立たされて、さぁこっからどう挽回するのだろうかと無視できないくらいには期待させてくれる。
けどそこから気合だのなんだのの精神論でゴリ押しして突破するパターンが多すぎる。輪をかけてひどいのが主人公の小野田坂道の走り。技術がどうこうというより疲れない。ペース計算して走ってる人たちを最下位の状態から全力で追い抜き、その後もチームと並走する極めて理不尽な走りをする。その意味不明な体力の根源というのが「走る楽しさ」とか「仲間を想う気持ち」なんである。
主人公以外のキャラの走りでも、『 {netabare} 強風で目の前にとんできたコーンを轢き飛ばしてまで勝ちに執着する闘争心で勝利』『トラウマを口頭で刺激する精神攻撃を食らって失速』『選手の左側を抜けないというトラウマを克服して逆転{/netabare}』など、精神論による強引な展開が幾度となくあり閉口してしまった。
こんなことになっちゃったのは状況証拠的に見て取材量の欠乏が原因じゃないかと思う。
弱虫ペダルのレースは「クライマーとスプリンターの役割」「リザルトポイント」「風除け」と言った基礎知識でやたら話を引っ張ることが多い。まあ競技の基礎を把握することはもちろん大事だけど、MTやカペタで描かれていた「機材のノウハウ」や「テクニックの解説」「力学」と言った、レースの展開に説得力を持たせるための情報までは十分に描けていない。結果、レースの流れを変えたり決着をつけたりするプロットは、テクニックや駆け引きの類ではなく頻繁に精神論を頼ることになってしまってる。
ロードレースというのは、もとから精神論を選択できてしまう素養を持ち合わせている題材だと思う。競艇やカート(モーターレース)では、レーサーが「うおおおぉぉぉ!!」と気合を入れたらマシンのスピードが上がった、なんてことはできない。プロペラの形状とか操縦者の体重とか、最終的には何かしらの物理的な要因でレースをコントロールする必要がある。その点ロードレースにはその縛りはない。歴然とした差がついてしまっていても、気合だの根性だのの一言でケイデンス爆上げ、その差をひっくり返す、なんて展開ができる逃げ道がある。
けどその逃げ道には頼らないで欲しかった。あと30回転!あと30回転!ていう目覚ましみたいな走りじゃなくて、もっとこう、熱い中にも「なるほどな」と思わせてくれるような、そんなレースが観たい。
2期観ますよ。なんだかんだでスポーツアニメ好きですし。
それに御堂筋くんの最期を見届けれないのは生き地獄なんでね。彼はちょっと小便臭いけど、非情なとことか雰囲気とかギョロっとした目玉とかに『ミチコとハッチン』のシンスケを思い出すとこあって面白い。あそこまで煽りまくってた彼をどう清算するのか楽しみ。小野田くんの無尽蔵な体力の毒牙にかかってやられる、ていうのだけは勘弁。