OZ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
まさに笑ったり 泣いたり
タイトルが気になり
あらすじから興味を惹いたので
観てみたら
じんわりと心に残る爽やかな
音楽×学園青春作品
■まさに笑ったり 泣いたり■
第1話を観終わった後は
「あれ?イマイチかな?」
なんて観ていたが
テンポの良い展開ですぐに馴染んだね。
馴染むきっかけになった場面が
第2話「集ったり あがいたり」で
来夏と和奏が紗羽の家に行った時の
馬小屋での会話。
来夏「よーしサブレ しっかり食べて大きくなれよ。」
紗羽「おまえもなー」
来夏「なんだと?」
和奏「なんで?」
紗羽「飼ってるの」
サブレの心の声を真似?するお茶目な紗羽と
来夏や和奏の反応が可笑しくて
クスっときた場面だ。
それとは別に心を揺さぶられ
一気に引き込まれたのは
第5話~6話で
和奏と母のエピソード。
喧嘩別れの状態のまま
突然亡くなってしまった母へ
和奏の後悔から出た
「言えなかった いってきますも ごめんなさいも ありがとうも
もう一緒に歌えない ごめんなさい お母さん・・・」
失ってから愛されていた事に気付き
言いたいけれどもう言う事すら出来ない
やりきれなさが伝わってきて
この場面は辛かったが最後に
「お母さん ありがとう」と
亡き母へ涙ながら
感謝の言葉を述べる和奏に
自然と込み上げてきたなぁ。
父 圭介の思いやりや
合唱部メンバーの優しさにも
ホロリとさせられ
第6話のカセットテープから流れる
母の声と共に
5人で歌う「心の旋律 (#6ED Ver.)」から
入るEDは見事な流れ。
シリアスで重たい部分もあるが
日常の何気ないやりとりや
前向きに進もうとする
キャラクターの心情によって
然程暗くならず
メリハリがつけられているので
知らない内に魅入ってしまったね。
■和奏って素敵な名前■
男性キャラの二人は別として
女性キャラの名前に目が行った。
来夏(こなつ)と紗羽(さわ)の
漢字もあまり見かけないが
和奏(わかな)は
読み方自体はよくあるけれど
漢字にすると珍しい。
「和音を奏でる」と言う意味なら
和音は一つの音で出す事が出来ないので
【一緒に音楽を奏でていきたい】と
母 まひるの願いが
込められていると解釈すれば
和奏って本当に素敵な名前だね。
■隙間を埋めるドラマCD■
アニメ本編が好きだった人に
手に取ってもらいたいのが
『TARI TARI ドラマCD 旅立ちの歌 』
楽しめた作品のドラマCDがあれば
大抵聴いたりするのだが
今作品のドラマCDは
中でも良く出来ていて
アニメ最終回の白祭から卒業までの
裏側を補完した内容だ。
合唱部で演じた音楽劇は
ダイジェストだったアニメ版と違い
丸ごと入っていて
実はウィーンのアドリブによって
みんなが巻き込まれている事が分かる。
劇の後は白祭反省会へと場面は移り
抹茶と思って青汁を一気飲みするウィーンや
またも大智が 無神経 クズ と呼ばれ
相変わらずな雰囲気。
続いて紗羽が車の免許を取ったらしく
合唱部メンバーでドライブに行き
みんなで曲を作る約束を交わす。
ラストは新曲「旅立ちの歌」
録音してる演出から始まり
5人は強い絆で結ばれている事が
表われている歌詞にジーンとくるなぁ。
ドラマCDなので映像は無いが
声だけでも場面が想像出来るんだよね。
最終話の隙間を埋めてくれる
完成度の高い一品。
■あとがき■
最後は駆け足気味に幕を閉じたが
2期を匂わせる事も無く
全13話の中でスッキリ収まったね。
背景の細やかな綺麗さと
より本物に近いレイアウトに
作画レベルの高さが見え
決して派手さは無いけれど
何より観て良かったアニメだ。
強いて言うなら
女性キャラを中心に
話が展開していくので
もう少し大智とウィーンを
絡ませて欲しかったかな。
彼等も魅力的だっただけに惜しい。
音楽物と言えばバンドスタイルが
思い浮かびそうなものだが
合唱は有りそうで無かったから新鮮。
音楽を題材に取り上げているだけあって
耳も楽しませてくれたね。
OP曲「Dreamer」は勿論
劇中で流れる曲も耳触りが良く
「心の旋律」や「radiant melody 」
いずれも欠かせない曲だが
お気に入りは
ED曲「潮風のハーモニー」
まさに『TARI TARI』らしい良曲。
最後まで笑ったり 泣いたり出来る
爽やかで心温まる良作アニメ。
満足度 ★★★★★★★★☆☆ (8)